■ 種族違いの恋に 5 つのお題
01.越えられない壁 アレン編
たとえばあなたがブックマンじゃなくて。
僕がエクソシストじゃなかったとしたら。
僕たちはどうなっていたのだろうか。
きっと…出会うことだって難しかったかもしれない。
「俺、本当に幸せだったさ。ありがとう。」
「僕も、あなたのおかげで幸せでした。ありがとうございます。」
「じゃあ…またさ。」
「えぇ。またいつか。」
別れの言葉はあっけないくらい、簡単で短かった。
お互いに目を見て言えたかどうかも思い出せない。
あの時は引き止める言葉を口に出さないように必死だったから。
ほほを涙が伝うのを止められたのだろうか。
今でさえ枯れることのないこの悲しみをこらえて。
エクソシストの歴史を記憶し終えたあなたは遠い国へと旅立ってしまった。
一つのリングを僕の机の引き出しにおいて。
そのリングを毎日見つめては、考える。
あなたがただのエクソシストだったら、僕たちはまだ一緒にいたのかな、と。
ラビ…
もうあなたをこの名前で呼ぶ人はいないだろうけど、あなたを思い出しながら呟く。
戦いが日常だったあの頃を。
胸に重く切ない痛みを抱えながら。