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ここは日記+駄文しかおいておりません。 現在はnaruto・銀魂を主としております。 原作には全く関係ありません。 若干女性向けの表現がありますのでどうぞ注意してお入りください。 最初に案内をお読みいただけると助かります。
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2025/06/15 (Sun)
4.久方振りの再会
 
久しぶりに副長と話せるなんて、ありがとう!局長。
と近藤への感謝を胸に秘めつつ、はやる心を抑え、副長室に早足で向かった。
昼食のお膳をもって。
 
「山崎です。副長いらっしゃいますでしょうか?」
障子の外から声をかけると、中でどっしゃぁっと書類の崩れる音がした。
何をしているのかと思い、失礼いたします、と障子を開けた。
 
「本当に何をしているのですか?」
俺は見ないふりをした方がいいのか、という考えが頭の中を掠めたが、無視できなかった。
副長がさっき崩れたのであろう書類に覆われ、更にその副長の体の下に…よく見えないがたぶん俺と同じ監察の人間、名を松本といっただろうか?松本は俺の顔を見ると、センパァィ!!と叫び、涙腺が壊れたかのように泣き出した。
副長の顔も一瞬固まっているように見えた。
しかしそれもすぐに意識が戻ったのか、すぐさま松本の上から立ち上がり、散らばった書類もそのままにして椅子に座った。
松本は未だ寝たままで、書類に覆われていた。
副長は何を言うのも嫌なのか、こっちを見ようともせず、後ろを向いたまま仕事をしだした。
仕方がないので、俺は部屋に入り松本の手を引っ張って起こしてやった。
「せんばぁ~い!ありがとうございます!俺、俺ほんとに死ぬかと思いました!」
「…何があったの?」
「あ、あの「松本ォォオ!!!昼飯食べにいってこねぇか!!」
副長の怒鳴り声に、身を縮ませる松本だったが、俺が頷いたのを見て、即座に
「では行ってまいります!おつかれさまでしたぁ!」
とダッシュで部屋を出て行った。
「………」
「………」
 
 
 
「あ、あの…お昼もって来たんで…」
と部屋の外に置いていたお膳のことを思い出し、いつも副長が食べていた席に置いた。
「あぁ。」
後ろを向いたまま、こちらを見ない副長に仕方ないなぁと苦笑しながら、
「副長…こっちに来て食べてくださいよぉ。」
と再三山崎が言ったので、仕方がないとでも言うように土方は立ち上がりお膳の前に座った。
「はい。」
と箸を差し出すと
「ん。」
と短い返事を返して、かけ終わったマヨのタッパと箸を交換する。
久しぶりの副長との会話-会話といえるのかは微妙だが―を俺はくすぐったいような気持ちが胸に広がった。
「ところでさっきはどうしたんですか?」
「…ちょっと、書類が落ちてきてな。」
バクバクバクと駆け込むように食べる合間に返事を返す。
副長の食事を見ていると口の中がマヨ味になりそうだ。
「そうだったんですか。でもあまり後輩をいじめないでくださいね。」
「そりゃどんな意味だコラァ?」
ギョロリと目を開いて、山崎をにらみつけた。
だが山崎はさらりと流して、こう返す。
「だって松本泣いてましたよ。たぶん副長を怒らせたんじゃないかと思ったんでしょうね。」
その言い方に、ムカッと土方は頭にきた。
普段ならこんなことくらいじゃ怒ったりしないが、それはそれ。
それになぜここに山崎がいるのかと疑問に思っていたので。
「うるせぇよ。それよりなんでおまえがここにいるんだ?総悟はどうしたんだ?」
そう、総悟だ総悟。なぜここにおまえはいるんだ。
せっかく総悟とうまくやっていると聞いていたから、それならば俺がいると邪魔になると思って、食事時以外なるべく部屋の外に出なかったのに。
もしかしてけんかをして、俺に助けを求めに来たのだろうか?
または何か変なことをされて、相談に来たのだろうか?
それならばいい、それならば…
「あぁ隊長なら局長と巡回に行ってますよ。この一週間副長と話す機会がなかったから、心配になったんで。ちょっとよってみました。」
ふぅん。近藤さんとねぇ。
近藤さん最近俺の部屋に様子を見に来たりして、不安そうだったけど、変なこといってねぇだろうな?
しっかし山崎がいねーとそんなに変わってんのかな、全然自覚ねーけど。
「で、どう思う?全く心配無しだろ?俺より総悟の世話してやんな。」
「心配的中しまくりですよ!!もう副長ったらどう是仕事し通しでろくろく休んでないんでしょ?!」
やれやれ、というかのような素振りで食べ終わったお膳を部屋の隅に寄せ、布団を引っ張り出した。
「や、山崎ぃ?何してんだよ。」
「何って布団出してるに決まってるでしょ?少しでもいいんで寝てください!」
せっせと布団と枕を準備し、どうぞ!とでもいうかのように布団に手をかざした。
「そんな暇あるわけねーだろ!」
俺は寝ねぇぞ!と立ち上がろうとした副長の肩を山崎は上から押さえた。
「そんなこといわないで寝てくださいよぉ。ほんっとにお願いします!」
ねっねっと背中を押しながら布団の方に誘導する。
だがなぁ、と背中を押す山崎の方に土方は顔だけ向けた。
山崎は背中を押していたので、振り向くと顔が近かったので驚いた。
山崎の顔を見て、うっと思わず顔を背けてしまった。
どきどきと胸の鼓動を刻む。
必死そうに潤む瞳、フルフルと震える頭。
その存在に、座っているのにくらくらと体の感覚が狂う。
思わず見とれそうになったのでふいっと顔をそらし、ほてってきたであろう顔を下を向いて隠す。
後ろからは、お願いします、と頼み続けてくる、久しぶりに聞いた山崎の声がいやに頭の中に響く。
「わかった!わかったからおとなしくしろ!!」
というや山崎の用意していた布団にごろんと入り、頭まで包まった。
くるまった布団の外からはありがとうございます、という山崎の声が遠くに聞こえた。
布団の中という暗闇でさっきわきあがった感情について土方は考えた。
あれは…いったいなんだったんだろう、と考えて遠い昔、俺の中に同じような感情を感じたことがあったことを思い出した。
それでもその時は、こんなに感情に流されたわけでもなく、顔の色が変わったわけでもない。
…まだ顔が熱い。
若い頃は散々女遊びをしたので、その方面には強いと思っていたのに。
顔の熱が取れない。
俺は山崎のこと…
考えて答えにたどり着くことが怖くて、考えるのを放棄した。
それより山崎が総悟のところに行ってから、イラついてなかなか眠ることが出来なかったから。
山崎のことが気になったてはいたけれど、段々とまぶたが重く感じてきた。
や、ま…ざ……き…
 
 
とりあえず、副長を布団の中に押し込んだ後,しばらく横に座っていたら。
布団が動かなくなったので、辺りに散らかった書類を片付けようと思い、立ちあがった。
パラパラと集めた書類に目を通すが、内容は副長が目を通さなくてもいいものばかりで。
松本は何をしているんだと思いつつ、あのおびえようじゃ仕方ないかとため息をつく。
それでも久しぶりに見た副長は、副長で。
顔つきやくまが酷かったのはもしかして俺のせいなのかな、なんて想像して。
ふふっと思わず笑顔がこぼれる。
隊長には悪いけど、局長には感謝かな。
 
などと考えながらも、書類の整理するスピードはすばらしく速くて。
どんどん分類され、机の上にあった書類も綺麗に整理されていった。
その中で助勤として処理できるものは自分でしようと、助勤専用の机の横に書類を置く。
 
副長は布団をかぶっているので残念ながら寝顔を見ることは出来ない。
でもさっきの慌てた副長を思い出すと、かわいいなぁと思ってしまって。
楽しくなって筆が進む。
でももう少ししたら、隊長が帰ってくるから、お茶の用意をしないと、と仕事のスピードをアップする。
お土産何かなぁ、なんて考えていたら、あっという間に終わってしまった。
 
 
 
屯序のほうでガタガタと音がしてきたので、あぁ帰って来たのかなと。
この緩やかな時間に終わりが来たことを感じ、少し残念になったけど。
仕方がないと立ち上がり、部屋を出ようとした。
障子を閉めるときに、布団の方を見たが、丸まったまま動く気配がない。
副長らしくないその姿を見ることが出来るのは俺だけかも、なんて考えて、はっと急がなくては、と駆け出した。
隊長の助勤となってから、副長の話題を振るとなぜか隊長は不機嫌になってしまうから。
その理由は俺にはわからないけど、ただでさえけんかばかりのお二人の仲をこれ以上こじれさせたくない。
そう思ったから助勤の移動の話を断りきれなかったのかもしれない。
 
 
 
 
「山崎ぃ。帰りやしたぜぃ。」
と大声で山崎を呼ぶが返事はない。
「総悟~そんなすぐに迎えにこれるわけないだろ?」
近藤と銀時はないない、といって、沖田を茶化す。
しかしそんな二人を気にすることなく、沖田は玄関の奥の廊下を見ながら
「すぐきやすぜぃ。あいつなら…」
…と。
 
 
 
 
二人の話す声が聞こえたので、大きな声で「おかえりなさい!!」と声をかけたら、なぜか一緒にいた万事屋の旦那には大笑いされて。
隊長は満足そうだったけど、がんばって走ってきた俺はちょっと不満顔になる。
どうぞ、とちょっと口をへの字にしてスリッパを並べていた俺の頭をよしよしとなで、隊長は手に持っていた紙袋をほれ、と渡してくれた。
 
「これ、お土産でぃ。」
 
 
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