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ここは日記+駄文しかおいておりません。 現在はnaruto・銀魂を主としております。 原作には全く関係ありません。 若干女性向けの表現がありますのでどうぞ注意してお入りください。 最初に案内をお読みいただけると助かります。
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2025/06/23 (Mon)

 

 

真っ黒に染まる森をゆっくりと。

 

微塵も気配は感じさせることなく黒い影が空を舞った。

 

 

 

「久しぶりに飲んだな。」

 

火照る頬が冷気にさらされて気持ちいい。

綱手にはホント、感謝だな。いい気分転換ができてよかった、と。

 

一際大きな大木の頂上に立って、ふぅと一息つく。

 

夕方綱手と居酒屋に向かおうとした時より、頭は冷えてきた。

 

冷静に考えてみる。

 

やっぱり、男なら女の子の方が良いだろう。

誰だって同性よりも異性のほうがいいに決まっている。

今日カカシに近づかれた時は少し気持ち悪かった。

俺だって、男に言い寄られるよりもかわいい女の子の方が嬉しい。

それに…シカマルと仲のよさそうな、テマリって子も綺麗だし、強いし…。

幼馴染のイノだって、優しいし仲間思いでいい奴だ。

 

男だし。器だし。だましてるし。

俺なんかより、全然いい。

 

シカマルとテマリの姿を頭に思い浮かべてみると。

とてもしっくりときて、お似合いのカップルのようだ。

そう、想像するだけで…。

 

胸が痛くなる。

 

全く、なんて様だ。

木の葉最強の忍びとして恐れられている俺が。

 

下忍の言動に、こんなに乱されてしまうなんて。

平常心を保とつことができない。

冷静に考えようとすればするほどに、浮上していた気分がどんどん降下していってしまう。

 

止めようと思っても、考え出したら止まらなくなって。

気がつけば体は完全に冷え切っていた。

クシュッ、とくしゃみを一つ。

風邪を引いてもおかしくないくらい、寒い。

さっさと家に帰ろう、と飛び立ちかけたナルトは何か気配を感じて、その方向へと神経を巡らした。

 

「これって…まさか。」

 

 

 

 

 

 

 07-4.気がつけば君をさがしてる

 

 

 

「親父も俺に頼まずに自分で行けばいいのに。ったくめんどくせー。」

 

瞬身の術で行けば一瞬なのに、とぼやきながらもそれが非常にめんどくさくて

奈良家の嫡男がこんな真夜中に一人で歩くなんて、と考えるかもしれない。

他の旧家や名家であればこんなことまずないだろう。

しかしその中で唯一、といっていいほど奈良家の教育方針は自由奔放だ。

他の家庭が過保護に見えるくらいには。

まぁ自分の身くらい自分で守れるだろう、との信頼のあらわれかもしれないが。

そういう事情でシカマルは真夜中にもかぎらず、縁者のもとへ奈良家特製の薬を届けた帰り道であった。

 

「あー、明日は任務か。中忍ってかったるいんだよな。下忍に戻りてー。」

とほほ、と肩を落としながら家へと急ぐ。

早く、家へと帰って床につきたい。

と考えていると、背後にかすかにだが気配を感じて。

 

身構えて警戒を強める。

 

 

ニャー。

 

と消え入りそうな泣き声が聞こえて、シカマルは少し気を抜いて。

 

「ん?猫の声か?」

 

茂みに顔を突っ込んでみると、子猫が寒さで震えていた。

頭から泥をかぶったかのように泥まみれな子猫。

自身がぬれるのも気にせずに子猫を優しく抱え、シカマルは仕方ねえなと笑う。

頭をなでて、湿った、それでも柔らかな毛の気持ちよさを味わいつつ。

 

「お前濡れてるけどあったけぇな、さっさと家帰るか、ミルクあるからな。」

 

猫を抱きかかえると、家への道を先ほどよりも急ぐ。

胸に抱える存在をいたわりながら。

 

 

 

 

 

 

 

「あっぶねぇ。あいつ、俺に気づいてた…訳じゃねぇよな。」

とナルトは言いながら、猫のいた茂みより少し離れた茂みを離れた。

まず、ありえないことだろうけど。

完全に気配を消していたから。それも全力を持って。

中忍どころか今暗部に属しているものの誰であっても気づくことはできないだろう。

 

だからシカマルが感じていた気配は俺じゃないはずだ。

「猫、だよな。シカマルが感じた気配って。」

とはいっても猫の発していた気配はとても弱弱しいもので。

その気配すら、よほど実力のある忍びでなければ気づけるものではない。

 

それなのに。

なぜかシカマルには

先日のことといい…本当に、お前は何なんだ?!とシカマルに問いただしたい。

周りの全ての者を騙している俺に言えた台詞ではないけれど。

でも。

それよりも聞きたいことは山ほどある。

 

俺のことどう思っているの?

テマリのこと…実は…

 

なんて、そんなこと聞けない。

そんな、勇気なんて持ち合わせていない。

なけなしの勇気を振り絞って以前シカマルに必殺技を見せるという口実で誘い出したあの一回きり。

その時は再会した勢いもあり誘うことができたけど。

口実無しで、シカマルを誘い出すなんて…。

 

 

「そういえば休暇くれるって言ってたよな。俺、どうしようかな。」

 

どうせ、休日をもらってもすることいえば家の掃除か修行くらいだ。

そんなのいつもとなんら変わらない。

俺ってさびしいやつなのかな。

 

なんてな、と笑うナルトの後姿はとても儚くて。

表の明るさどころか、先ほど綱手に発揮していた生意気さなんて微塵もない。

もしこの様を綱手が見ていれば「私になんで相談しないんだい!」と抱きしめていそうなくらい。

 

 

「でも偶然だけどシカマルに会えたし。明日いいことあるかも。」

 

 

 

 

 

 

最初は勘違いだろう、なんて思っていたシカマルへの思いはどんどん大きくなって。

シカマルのことを思うといろいろな感情があふれてしまう。

今まで知らなかった負の感情と、シカマルの姿を見るだけで喜びが。

 

先ほどシカマルの胸の中に抱かれた猫にさえ、嫉妬をしてしまう。

泥まみれの猫、なんてまるで俺のようだから。

猫だったらよかったのに。

 

と。

 

 

 

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2008/03/16 (Sun) お題 Trackback() Comment(0)

ども。久々の投稿です(汗

短編の興味の続きです。
そしておまけのようなものでかなり、短いです。
しかもナルトもシカマルも出てきません。
CP要素ゼロです。

本当にすみません!!!って感じです。

他の続きを早く書きたいのですが、なかなか筆が進みません(涙
気長にお待ちいただけたらと思います。

先日キリバンのリクエストを頂いた際に、夢現/恵理香様に小説を頂いてしまいましたvv
恵理香様のサイトではシカマルがとてもかっこよく描かれております☆
お時間がありましたらどうぞv
このたびはすばらしい小説を頂き、うれしくて涙ぼろぼろです!
シカナルコ+αでナルトがとてもかわいいですvv
シカマルもわが道を行く感じが良いです☆
そして私にはないラブラブな感じがありますv
本当にありがとうございました!(^▽^)



 


 



燻り始めた気持ち

 

 

 

 その日は朝から嫌な予感がしてたんだ――――。

 

 


「シッカマル~!」

 ふわりと長く伸ばされた金色の髪が持ち主の動作に合わせて波打った。

 ナルトがだるそうに歩いているシカマルの背中を目掛けて地を蹴る。
 が、目指した背中は寸前でひょいと右にずれた。
 その為慌てて着地をする破目になったナルトは右に我関せずと言いたげな顔をして立つシカマルを睨みつけた。

「何で避けるんだってば?」

 むぅ、と唇を尖らせて抗議するナルトにシカマルは面倒くさそうに顔を傾けて視線を下に向けた。

「何でって、そりゃあお前あれだろ? 面倒くせぇからだ」
「んなの理由になってないってばよ!」

 もっと納得のいくような理由を説明しろとばかりに身を寄せるナルトに2人の様子を離れた場所から見ていたキバはむかむかとする胸中に違和感を覚えた。
 あの2人の仲が良いのは今に始まったことではない。
 それこそ、2人はナルトがアカデミーに入学する前から交流があったと聞いたことがある。
 ナルトの入学に1年遅れてアカデミーに通うようになったシカマルが現れたとき、ナルトは心底嬉しそうに無邪気に笑っていた。そしてどこか纏う雰囲気が柔らかく・・・・・そう、シカマルがすぐ傍にいることで安心したように少々無防備になった。
 今、当時ナルトが置かれていた環境や立場を思えば、幼い頃から共にいた相手が再び一緒にいる時間が増えたことに対する安堵からきていたのだろうけれど、ナルトが女だったということを知って以来、そこにあったナルトのシカマルに対する感情が単なる友情や信頼、親しんだ者へ対する気安い思いだけだったのかは純粋に思えない。
 シカマルが、ナルトが一人で孤独を味わい、そして苛まれていた頃から共にいたと思うと、誰よりも信頼され安堵できる場であると思えるほどの仲を築いていたのだと思うと、異様にむしゃくしゃする。
 この感情は何なのだろうか、とじゃれあう2人を遠く見つめながらキバは思った。
 けれど、これ以上自身の中に芽生え始めた感情の正体を探ろうとすれば、きっとナニカが変わってしまうことを悟っていた。

 

 

 

 


 離れた場所で立ち尽くし、こちらを見ているキバの存在にシカマルは早くから気付いていた。
 同じ中忍同士といえど実際の忍として生きてきた経験は勝っているのだ。同期だからという思いから油断をしているのであろう人間(忍)の気配をよむことなどシカマルにとっては何をするにしても容易い。

 

 シカマルは、彼らが何も知らずに笑って同じ年頃の友人達と外を遊び回っていた頃から“忍”をしている。
 “忍”とは耐え忍ぶ者、という意味が含まれている。
 誰よりも「事」の次第を理解でき得る頭を持ち、それが故に知らなくても良いこと、知らないほうが良いことを知り、理解してきた自分は、次第に蓄えられてきたドロドロした気持ちやムカつきを抑えるのに自然と上手くなった。
 一度、父に言われ忍の世界を見たことがある。
 そこに渦巻く闇を見た時、反吐がでるようだった。
 自分の夢は、そこそこ出世してそこそこ稼いで、ある程度の年に結婚して、ゆったりとした余生を過ごすことだ。
 だが、それは所詮夢であることを知っている。
 自分には叶わない現実であると理解しているがゆえに、望んでしまうのだ。
 全てが面倒で、どうでも良いと思いながら過ごしていた時、出合ったのが里の深い闇に落とされてしまったナルトだった。
 今思えば、何故そこまでしてナルトのことを知りたがったのか、それは本人には絶対に言えない理由だと理解しているが、当時は笑えるほど単純に動いていた。
 ただ知りたい、という欲求に突き動かされて知りえた情報に、シカマルは再び忍の・・・・・いや、里の闇を知った。
 大人の身勝手さに付き合わされ、何が悲しくて虐げられなければならないのか知らないナルトに、シカマルは最初同情の念を持っていた。
 自分には父も、母もいる。頭にいらぬ存在を飼ってはいるが父はそれを承知しているし、きっと母も承知している。それでも自分に対する態度は変わらないし、愛情というものが注がれているのだと感じれる。
 頭の存在は自身の言動で第三者にはどうとでも捉えさせることができる。
 だが、ナルトの場合はその存在自体が問題なのだ。

 

 

 

 


 つらつらと過去を思い出していたシカマルは、ナルトがシカマルの首に両腕を回してだらりと垂れ下がった状態で不貞腐れていることなど目に入っていない。
 ふ、と目を閉じたシカマルにナルトが何かを思いつき、悪戯っ子のような顔をして笑んだことにも、不覚ながら気付かなかった。


 ちゅっ

 微かにならされたリップオンと感じた感触に、シカマルははっと瞼を押し上げた。

「おまえ・・・!」

 かっ、と顔を赤く染めるシカマルに、ナルトはしてやったりと笑んだ。
 艶やかに笑んでみせたナルトに、シカマルはくそっ、と声を出さずに毒づいた。

 


 油断は禁物。

 


 彼女を相手に少しでも思考の海へ沈もうとするのは自分にとって有益ではないと実感しながら、シカマルは満足気に笑うナルトに仕返しを、とばかりに自身の唇を彼女のソレに押し付けた。

 

 

 

 

 

 


*-*-* オマケ *-*-*


「ナルト・・・どうしてシカマルくん何かをっ!」

「いやーやるなぁ、渦巻も」

「・・・シカマル(覚えていろ。何故ならお前はそれだけのことをしたのだからな)」

「いやー! あれぞまさに青・春っ!!」

「ナ、ナルトさん・・・・・君がそれで幸せなのなら、僕は、僕はっ!!」

「シカマルもナルトも幸せそうだね~」

 自分の背後から恨みのこもった声や能天気な声、熱血的な声にほのぼのとした声が不意に聞こえ、キバははっと我に返った。
 突然のナルトとシカマルのいちゃいちゃシーンに、唖然と立ち尽くしていたキバは慌てて背後を振り返った。
 そして見たものは里内でも里外でもその名を轟かす某元暗部現上忍やそのライバルだと自称している上忍、面白そうに自身の教え子を見ている上忍に、同期の忍と暑苦しい見知った忍だった。
 ぱくぱくと呆気に取られているキバに、チョウジがのほほーんと、

「キバも残念だったねー」

 全くそう聞こえない声音で慰めの言葉を向けた。

<仮>瞳を開けば...。2昨日は不手際があり、本当に申し訳ありませんでした。
そしてご指摘下さった方には感謝の言葉しかございません!ありがとうございます!
そして早速、というほどではありませんが、再投稿させていただきました!
待っていただいたというのに、シカマルが全く出てきませんので大変心苦しいのですが…、
一刻も早く次が更新できれば、と思っております。

ナルト←カカシ話です。
    カカシ好きさんは見ないほうがいいと思われます。

 

 


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「なーんか、むかつくんだよねぇ。」

 

 

 

ポツリとつぶやくその姿はとても悲しそうで。

 

まるで何かを耐えるように。

 

グッと力を入れてこぶしを握りこんだ。

 

顔のほとんどは布やら額宛で隠されていたが。

 

 

唯一隠していない右の瞳の奥には、焦りのような、怒りのような感情が映し出されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2.

 

 

 

 

 

 

 

それはシカマルが深い眠りから目覚め、解部へ向かい仕事に精を出し始める数刻ほど後のこと。

 

あたりは日が沈み、街灯がなければ道が見えないほどに暗くなっていた。

 

足元ですら、暗くて何も見えないほどに。

 

 

 

その闇を利用するがごとく、木の葉のはずれの森には二人の暗部が姿を現し、木の枝を飛び駆けていた。

その姿を目に留めるものは誰もいなかった。

 

 

いたとしてもその者に与えられるのは死か、記憶を消されるかの二択のみ。

暗部は通常仮面を被り、火影に与えられた名を名乗る。

何らかの特殊な事情がない限り、正体を明かすことはない。

しかしその通則を破り、全里に名を知られ、仮面が意味をなさない者がいた。

 

その名を畑カカシ。

 

齢13歳にして上忍へと昇格し、里内でも高い評価を得て天才忍者として噂にのぼる事が多い。

そしてカカシはうちは一族ではないものの、ある時期から瞳術を使うようになった。

里外でも知られるほどに有名になったうちは一族の一部のみが会得できる瞳術:車輪眼。

敵がある程度の知識と実力を持ち合わせているのであれば、カカシだと気付く者は少なくない。

そのためか、最近ではまったく仮面をつけなくなったようだ。

 

 

しかし天才と聞こえ高いカカシが後方に着き、息を切らしながら走っている。

 

…どうやらカカシは全力疾走しているようであるが、追いつけていない。

 

 

 

 

 

 

「ね~ちょ、待ってって!っ…弧葉ってば!!」

カカシの言葉に前方にいる忍びはやれやれ、とでも言うように足を止めた。

 「カカシ…まだ任務地にもついてないぞ。担当上忍になってから鍛錬が足りないんじゃないのか?」

 今のうちに…とでもいうかのようにカカシは急いで呼吸を整えた。

 「確かに最近サボってたけど…孤葉が早すぎるんだって!」

 呼吸の荒いカカシを尻目に、孤葉にはそれがよく耳にする内容だけに耳が痛かった。

 

なぜなら部下の…どの暗部の中にも孤葉のスピードに着いてくる者はおらず、カカシと同じようにスピードを抑えてほしい、と懇願されるのだ。

といっても孤葉は全力で走っているわけではない。

そして暗部の質が落ちているわけでもない。

孤葉一人が飛びぬけて、すごいだけの話だ。

 

だから孤葉はあまりスピードを出さないように走っているのだが、如何せん前方を走っていると、どうしても自分のペースで走ってしまう。

今日はいつもよりも足取りが軽く感じるから、余計に。

 

しかしカカシにしてみればたまったものではない。

任務地に着く前にエネルギー切れなんて、情けないことこの上ない。

 

それでも、カカシよりも弧葉の頭を占拠していたのは昨日の出来事。

 

 

早く帰って、アイツと。

 

シカマルと、話がしたいと。


そう は言っても、里に帰り着いた後シカマルに会いになんて行く勇気なんて持ち合わせてないのだけれど。

 

 

 

わかった、と言って孤葉は先ほどよりもややスピードを落として、任務地へと向かった。

 

後を追うカカシには孤葉が楽しそうに見えて。

それがなんだか、面白くなくて。

なぜなら孤葉の機嫌がいい理由に心当たりがあったから。

俺がその理由であったら、踊りまわってしまうくらい嬉しいんだろうけど。

 

…十中八九、原因は昨夜出会った少年、が原因だろうねぇ。

正体を知りながらも、受け入れてくれたこの子の仲間。

カカシ自身、とても驚かされたというのが素直な気持ち。

そして担当上忍と言う立場からすれば、理解者ができてよかったね、と一緒に喜ばなければならないのだろうが。

そんなこと、できなかった。

孤葉には仲間意識とも憧れとも違う、何か特別な思いを感じていたのだから。

 

 

 

俺の方が先に知ったのに。

 

もちろん、暗部からは引退していたので孤葉の正体に気がついたわけでもなければ、ナルトに必要以上かかわっていたわけでもない。

ただ、他の教え子と同じように担当上忍として接していただけだ。

 

だから。

 

知った時に無知だった自分に後悔とふがいなさを感じたのも事実。

 

 

だけど、それよりも。

 

孤葉という存在に、何者にも負けないナルトの強さに引かれたのもまた一つの事実だった。

 

それからのカカシの行動は早かった。

 

火影に直談判後、暗部へと復帰。

 

そして今へと至る。

 

 

 

 

 

それまでとの違いにおかしくなった、とよく言われるがそんなことはたいした問題ではない。

 

 

傍にいられれば、それでいい。

 

自分でもずいぶんと乙女チックな考え方だと思う。

 

それでも、青い瞳が自分を見てくれるだけでよかった。

 

昨日までは。

 

 

 

考えに没頭しつつも、向かってくる敵をなぎ倒す。

 

今日の敵は雑魚ばかりでたいしたことはないようだ。

 

何十といた忍びがあっという間に地へと伏していた。

 

 

ザシュッ

 

 

と最後の一人を孤葉がクナイで引き裂いた。

 

赤い血が広がり、あたりには鉄くさい血のにおいが立ち込める。

 

 

 

「………」

 

 

 

孤葉は無言で印をきった。

 

徐々にあたりに火の気が立ち上がり、10分もしないうちに焼け野原となる。

 

その中心で孤葉は書類を出して、何かを書き出した。

 

どうやら報告書のようだ。

 

その姿を見て、まじめだなぁ、と思う。そしてそこが可愛いとも。

 

 

 

そして。

 

 

 

ふと何かを思い出し、どす黒い感情が濛々と体の中心から沸き起こった。

 

きっとこの感情は嫉妬だろう。

 

ナルトに恋するまで知らなかった、とても汚い感情。

 

 

 

「ねぇ、仮面はずしてくれない?」

 

「…何ではずさなきゃなんねぇんだよ。」

 

心底面倒くさそうな姿に心が折れそうになるケド。

 

「顔、見たいんだよねぇ。」

 
と食い下がって。


「表でいつも見てるだろ。」

 

 

「…素顔が見たいんだケド。」


 食い下がっても。


「無理。」

 
…落ちた。


 

俺はショックで、ガーンと頭をしたたか打ち付けられたような悲痛な顔をした。

 

その表情に罪悪感を感じたのか

 

「今は任務中だ。正体を知られるわけにはいかない。」

 

 

 

と一応フォローらしきものが入る。

 

 

 

「誰もいないし、大丈夫でしょ。」

 

しつこく言い募るカカシに、ナルトは何もいっても無駄だと「はぁ」と深くため息をついて踵を返して立ち去ろうとした。

 

引き止めたくて、ナルトの興味を引くような話題を口にする。

 

「…ねぇ、昨日のことなんだけどさぁ。」

 

「…なんだよ?」

 
ほら、あの子のことなら話をしてくれるくせに。

 

そう思うと悔しくて悔しくて。

 

それでも今の俺にはこれしか彼を引き止めることはできないだろう、と自嘲しつつ。

 

「あの…アスマの班のシカマルって子、本当にナルトのこと秘密にしてくれるのかなぁ、と思って。」

はぁ?と弧葉のどすの聞いた声に、やばい、とカカシは口をつぐむ。

 

 「シカマルが俺のことばらすわけねーだろうが!」

 

とカカシにいいながら、弧葉…もといナルトは昨夜のことを思い出すと、ほほが赤らむ。

幸い仮面をかぶったままだったので、カカシはその顔を目にすることはなかったが。

それはナルトに恋するカカシにとっては都合のいいことだったのかもしれない。

 

 

 

「アカデミーの時から知ってたのに…詮索もせず黙っててくれたんだから…」

 

 

 

そう、本当に昨夜は驚かされた。

あんなふうに自分を受け入れてくれた人なんて、なかったから。

 初めてだった。何も言わずに気づいてくれた人は。

 俺の裏の顔を知っているのは火影と…火影が認めた人達だけだったから。

 だから。

 

 「ってカカシに言っても仕方ねーよな。じゃあ報告書出してくるから。」

 解散、といい終えるとナルトは瞬身の術でその場から消え去った。

 「あ、…ったく帰るの早すぎでしょ。」

 脱力感にはぁーと深いため息がこぼれる。

 何度目のため息だっただろうか。

 

「仕方ない、てそんな俺が関係ないみたいな言い方しないでもいいでしょ。」

 

転がっていた岩に腰を下ろして、少しだけ休憩を取って。

ナルトが何処に行ったのか、とかいうことをいろいろ考える。

 

「……さすがに今日は…我慢するしかないか。昨日、追いかけてってかなり怒らせちゃったし…」

 

 

 

 

 

今からどうしよっかなー、と考えて。

 

空を見上げると、星一つ見えない真っ暗な暗闇が。

 

今日は薄い雲に覆われていて、何一つ指針となるべきものが全くといっていいほどに見えない。

 

空と同じように、カカシの心にももやもやとした何かが広がっていた。

 

出口を探して走り回っているかのように、胸がいっぱいになる。

 

「このままじゃ…ね。やっぱり、あの子とはきちんと話しておかないと。」

 

 

 考えてもこのままでは何も始まらない。

そう考えて、カカシは重い腰を上げて、んーと背伸びをして。

 

 

 

「解部に行くか!さすがに…今日は本人と話すの葉無理だろうけど、解部にいけば…。敵の情報収集は欠かせないっていうからね。」

 解部へ行こうとして「これじゃ…駄目でしょ。」と自身についた血と血の匂いに気付き、風呂に入ってから、とカカシは瞬身の術で自宅へと向かい去った。

 

 シカマルがいないだろう解部に顔を見せることは、カカシにとって情報収集以上の意味をもっていた。

 

一つ目は牽制。

そして、二つ目はカカシが解部にシカマルの情報を求めに行ったことを知った時のナルトの反応。

 

もちろん、カカシが解部にいったことを知れば、烈火のごとく怒るだろう。

カカシは現在暗部に属しており、会部にいく必要は全くといっていいほどない。
任務中に回収した暗号や巻物は報告の際に提出することになっているからである。
暗号を解読してほしい場合も、受付にて書類を提出した上で解読してほしい暗号を提出することになっている。
だから、解部に顔を出すということは何か特別な用事のある場合だけである。

そう、例えば何らかの、誰かの情報をしたいとか。

俺がナルトに執着していることを自覚しているのだから、誰を調べたいかなんて自然と想像がつく。

それでも、怒るだけならばいいのだ。

シカマルに友達以上の特別な感情を感じていなければ。

 

本当のことを言えば、自分以外誰にも好意なんてもってほしくないけれど。

ナルトはこれから木の葉を背負っていく人間だから。

そんな、馬鹿なことを考えるほど自分はおろかではない。

 

だから、思う。波打つ感情を抑えつつ。

ナルトにとって、よい理解者がもっと、もっと現れてくれればよいと。

 

そして、想う。

俺が一番の、理解者になりたい、と。

もちろん理解者という立場のみで終わりたくないとも。

ナルトの特別な、人になりたい、とも。

 

 

矛盾だらけなカカシの感情だが。

それは尽きることはないナルトへの想いの形。

 

恋情にかられた者にとって普通に考えればわかることでも、わからなくなるというのは世の常である。

わかっているつもりになる、ということも。

 

自分がおろかではない、というカカシの理性は…今はとりあえず働いているのだろう。

 

だが。

 

土壇場になれば、良心を裏切ってどのような行動に出るか、なんてこと誰にもわからない。

 

 

 

今はっきりしていることは、カカシにとってナルトが興味を示しているシカマルが、邪魔以外の何者でもないということ。
シカマルが何を考えているかはカカシにとってどうでもいいことなのだ。
敵の情報を知ることは後々役に立つことがあるかもしれない。

ただ、それだけ。そう考えて、カカシは解部に向かうことを決めた。

 

 

 


これから面倒くさいことになる、と朝感じたシカマルの予感は今夜にでも当たることとなる。

感があたったことをシカマル絶対喜ばないだろうけれど。

 

とりあえず、シカマルに危険が迫っている、ということを教えるものはいない。

常人よりも忍びとして鍛えられたさすがの第六感も、生命の危機でなければ働かないのかもしれない。

 

ある意味、死ぬよりも面倒くさいというかもしれないが。

 まだまだこれから、である。

 

 

父に、友人に、恋敵に。

 

と一挙にいろいろな事柄が昨夜からシカマルに襲い掛かってきているような気がしないでもないけれど。

 

そういう星の下に生まれてしまった。
と何事も諦めることが肝心である。

 

すでに物語は始まってしまったのだから。

先日投稿しておりました仮2についてご指摘いただきありがとうございました!
途中で切れてると全く気づいていなかったもので助かりました。不思議に思ったかたもいらっしゃるかと思います(汗)せっかくこんな僻地に来てくださっているのに申し訳ありません。
できることならすぐにでも修正したいところですが…できる状況におりませんのでさげさせていただきました。
月曜日か火曜日にはできるのではないかと考えております。
少しだけお待ちいただければと思っております。

教えていただき本当にありがとうございました!
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