やっと投稿できました!!
フリーでどんなだ!?と頭を悩ませつつ、コレでいいのかと迷いながら。
なんか、一番シカナルっぽく二人が絡んでるなぁと思いながら、やっぱり色味がないな、と嘆きつつ。
初のチマシカオトナル書きました!
シカ7歳。
ナル19歳の一回り違うカップルです!
とはいっても全然そんな話になってないけど。
ちまシカおとナルは以前他のサイト様で読んだときに、ちまシカかっこいい!!と奇声を上げてしまうほどの衝撃を受けたことのある設定です。
シカマルがかっこよくて、今日書いたのはあまりそんな感じが出てないけど。
そのシカマルにナルトがメロメロなんです!(本当は!)
設定をうまく活かしきれてないことに悔やんでも悔みきれませんが、続きを書けたらいいな、と思っています。
木の葉の里の図書館はとても広い。
上階に行けば行くほど、難解で本の厚さが分厚いものばかり。
どこを向いてもずらりと並ぶ本ばかり、本嫌いであれば本の数十分で発狂してしまうかもしれない。
そんな場所で、絶叫している忍びが一人。
その忍びを睨んで、司書の方が大きな咳をゴホン、と一つ。
図書館は静かにしなければならない場所である。
「何で俺がこんな面倒くさいことやらねーといけねーんだってば!」
その忍びの周りにはなにやら分厚い本が何冊も積み上げられ、はたから見れば本好きそのもの。
しかしページをいくらめくってもちんぷんかんぷん。
何がなんだかわからなくて思わず大声で叫ぶ。
受付にいた人がこちらを睨んでいたが、あえての無視…ではなくパニックを起こして気付いていない。
「あぁ、わからないってば。」
わからないという度に、金色の髪の毛が飛び跳ねる。
俯いているので、その青年がどんな表情をしているのは見えないが、たぶん困った表情を浮かべていることだろう。
しかしその金髪を見るだけで木の葉のものであれば、大抵のものはうずまきナルトだということがわかる。
今一番火影に近いと噂されている男で。
困りきったナルトの後姿には、見る影もなかったのだけど。
これでも将来を有望視されている忍びの一人である…たぶん。
ナルトは火影候補の中でも最有力候補と呼ばれていたのは、現在火影の職についていた綱手が強く推薦していたからである。
そして綱手が推薦するだけの実力をナルトは持ち合わせていた。
しかしその綱手に頭が弱いから鍛えろ、といわれ、ナルトは課題をこなすよう申し付けられたのである。
もちろんナルトは綱手の言い方に腹が立ったが、頭が弱いということに反論できず…
今に至るのであった。
「あ~!もうっ!こんな難しい問題とける分けないんだってば!」
ナルトが今解こうとしている問題は、上忍であれば百人が百人とも解ける、といったレベルの問題である。
簡単な暗号で基礎の基礎といえる問題だったのだが、あいにくナルトにはその問題を解く基礎知識がなかった。
いつも力で敵をぶっ飛ばす、といった類の任務が主だったので、戦略といった頭を使うことが苦手だった。
綱手もナルトが頭を使う分野が苦手だと知っていたので、そういう任務を回さなかった。
その分就いた任務の遂行率はとても高かったので、仲間も何も言わなかったのだが。
しかし火影ともなれば、そうはいかない。
火影の舵取りしだいで、木の葉の里は良くも悪くも変わるのだ。
サイヤク、滅ぼされてしまうかもしれない。
だから今のうちにナルトに課題を課し,戦略・暗号といった苦手な分野の強化を図ろうとしたのだが。
どうも上手くいっていないようである。
「……やっぱ一人でなんて無理だってばよ。」
しばらく沈黙が続いた後、ポツリとそう呟いた。
確かにナルトには基礎知識もついていないのだ。
誰かが解き方を教えてやらなければ、永遠に不可能なことかもしれない。
しかしナルトに今勉強を教えようとするものはいない。
いや、正しくはいた、というべきかも知れない。
某、元7班だったSさんの証言
「ナルトったら教えてもぜんぜん理解してくれないし、疲れちゃって」
某、同期のKさんの証言
「俺?俺だって同じレベルだっつーの!教えられるわけねーぜ。」
某、もと7版の先生の証言
「俺が教えてもいいんだけど、周りが危ないからだめだって、何でだろうねぇ。先生、全然理由わかんないよ。」
「先生が教えるなんて危険に決まってるでしょ!」
「だからなんでよ?」
「なんででもよ!」
などなど、教えようとがんばってくれた人も段々とあきらめ、ついには誰もいなくなった、という訳である。
課題を出した張本人はどうかって?綱手がそんな面倒くさいことするわけがない。
課題を与えたら、後はがんばれ、の一言。
いくらナルトに一目置いているといっても贔屓はできない、ということなのだろうか。
最も本音はめんどくさがっているだけ、というのが大方の予想である。
ナルトにしてみたら、それは迷惑以外の何者でもないのだが。
それでも課題に取り組むことをやめないのは、投げ出したくない、と意地になっているだけに過ぎない。
それでも暇さえあれば毎日図書館に入り浸り、ナルトの発する奇声は今や図書館の日常と化していたのだった。
「あいつ、あきねぇな。」
図書館の隅のほうに座っていた少年がぼそっと呟いた。
子どもが読めるレベルではない難しい本を読みながら。
こちらの少年もこの図書館の常連さんで、ほぼ毎日通っていた。
視界の端にはこの場にそぐわない奇声を発する大人が一人。
わからない、という雰囲気が見ているだけで伝わってくる。
そのわかりやすさが面白くて、本を読む合間にそいつ事を眺めるようになっていた。
「うわぁぁ!」
がたがたと積み重ねていた本が崩れ、下に散らばった。
うわやべぇ、と慌てて本を集める。
ちょっと眠くなって、頬杖をついていたら。
カクン、と意識がなくなった瞬間に…
「はぁ~~。」
自分の不甲斐無さに俯きながら大きなため息をついた。
「大丈夫か。」
少し高くて、優しい声質。
頭上から響いてきた声に、驚いて顔を上げた。
目の前には。
どこかで見たことのあるような少年が、本を机の上へと整理しながら並べていた。
「あ、ありがとう。」
といって、一緒に本集めを再開する。
「で、あんた何してたの?」
下に転がっていた本を集め終わり、その少年が口を開いた。
「え~と。」
理由が情けなさ過ぎて、アハハ、と笑ってごまかした。
見るからに不機嫌そうに目つきが悪い。
オールバックで黒髪を後ろで縛り上げているから、そう見えるのか。
「ちょっと眠くなって。」
「ふーん、そう。」
興味なさそうに、短く返された。
その少年は並べられた本をぱらぱらとめくり。
「コレあんたには難しいと思うんだけど。」
ポツリ、とそういわれ、なにぃ!とナルトは怒り狂った。
「何でそんなことわかるんだってば!読むのなんて簡単だっての!」
ってば、と聞きなれない語尾にブハッとシカマルは噴出した。
わははは!と笑い出して、腹を抱える。
「な、何笑ってんだってば!」
ひでぇ!と更に怒りを露にするナルト。
相手が子どもなのも忘れて、掴みかかろうとしたとき。
「静かにしてくれませんか。ここは図書館ですよ。話すなら外にでてください。」
ぬっと現れた、司書はどうぞ、とでもいうかのように出口を指差した。
日ごろのナルトの奇行にも耐えかねていたのだろう。
「「すみません。」」
二人一緒に頭を下げたが、もう遅い。
司書の溜まりに溜まりまくった怒りは収まらず、二人とも外へと出て行く羽目になったのであった。
「ったくお前のせいだってば!」
図書館を後に、ブツブツとナルトは愚痴を繰り返す。
当分は図書館へ行くことは出来そうにもない。
どうしよ、と綱手から与えられた課題に頭を悩ました。
「悪かったって。あまりに面白くてよ。それより、毎日図書館に何しに来てたんだよ。本も読まずに。」
「え?俺のこと知ってるってば!」
毎日、という言葉に引っかかり、目の前の少年をじっと見つめた。
確かに見たことのある顔なのだが、どこでとは思い出せず。
「あんなに騒いでたら、嫌でも目に付くだろうが。」
何が目立っていたのか、と首を傾げるも、ナルトには皆目見当がつかない。
「毎日あーとかうーとか変な声上げてたぜ?」
「あ、ははは。そうなんだ。」
うわぁ、とナルトは呆然としつつ声を上げた。
なんて恥ずかしいんだろうか。
だからあれほど司書が怒っていたのか、と思い当たる。
「で、これなんだ?」
ぴら、とシカマルが手に持って、読み出したのは…俺の課題!
慌てて取り返したが、すでに遅く、読まれてしまったらしい。
「綱手作って書いてあるけど、それって火影様?仲いいんだな。」
取り返した課題を胸に、再度苦笑をこぼす。
なんか、さっきからこいつのペースに巻き込まれすぎだってば。
仮にも上忍、火影のいすを狙っているのだから。
これではいけない、と思いつつも。
なんか逆らえない雰囲気がこいつにはあって。
「当然だってばよ!俺ってば未来の火影様だからな!」
くすっと笑われて、カチンと頭にくる。
俺のことなんてきっと知らないのだろう。
周りに納得してもらうために、どんなに努力をしてきたかなんて。
何を馬鹿なことをと思っているのだろうか、と思っているのかもしれない。
ガツンと言ってやろうか、と口を開こうとしたとき
「そりゃいい夢だな。がんばれよ。」
二か、と笑いながら、そいつはしみじみと言った。
その笑顔からボーと見とれたように俺は目が離せなかった。
頭を少しだけ下げて、下のほうにあるそいつの顔を。
励ますように背中をポン、と叩かれて。
その辺りが熱を持ったように熱い。
名前も教えてないのに。
名前も知らないのに。
俺よりも幼くてまだ子どもなのに。
自分の話をきちんと聞いてくれた。
火影になるなんてそんな夢みたいなことを、と馬鹿にもせず。
昔こんなこと言っても、誰も本気にはしてくれなかった。
今はやっと認めてくれる人も現れたけど、昔はいなかった。
無条件で肯定してくれる人。
「…ありがと。」
礼を言うのが照れくさくて、ぼそり、と呟いた。
「ところで、あんたそれ解けねーの?」
それ、とナルトが胸に抱える髪を指差した。
何で!?と驚愕で目を大きく見開いた。
先ほどから、ナルトの行動を予測されているようで。
「いや、毎日あそこに来てるのみたけど…それ一問も解いてないから。」
と訳を説明されれば、なるほど…とナルトは思うのだが、頭の中を見透かされているようで居心地が悪い。
「そうなんだってば。これ、解かないといけないんだけど難しくて。」
はぁ、とため息をこぼす。
「でもあんたって…中忍?上忍?まさか下忍じゃねーよなぁ?これってあまりレベル高くはないと思うんだけど。」
「う!それは…でも俺にとっては難しいんだってばよ!ちなみに上忍だってば。」
「…よく上忍やってんな。コレって、上忍なら皆解ける問題だと思うけど。」
「な、そんなことないってばよ!かなり難しいってば!解けもしない癖に偉そうなこというなってば!」
図星を指され、逆切れに近い勢いでナルトはウガーと捲くりたてた。
しかし気にする様子も見せず、ぼそっと。
「でも、俺わかるけど。」
「そーだろそーだろ!わか…るってばぁ!?」
途中で自分の勘違いに気がつき、驚きの声を上げる。
確かに上忍であれば簡単なレベルだが。
アカデミーを卒業していないだろう子どもに解けるようなレベルではない、ということはナルトにだってわかる。
しかしそれまでのその子の言動に、もしかして…という淡い期待を感じる。
こんな小さな子でさえできることに自分が出来ないという事実から目を背けつつ。
うるせーとナルトを睨みながら耳を押さえているのをじっと見つめて。
「な、なぁ。この問題わかるってば?なら…俺に教えてくれってばよ!」
恥も外聞も投げ捨てて、お願いします、と頭を下げた。
驚いたのは相手も同じで。
まさか上忍ともなろう大人が、自分に頭を下げてまで頼むとは。
面白い、と口元がゆがむ。
図書館で見かけるようになってから、自分の予想を裏切って破天荒な行動ばかり。
本当に面白いやつだ。
「いいぜ。俺でよければ…おしえてやるよ。」
「本当!?ありがとうってば!助かるってばよ~~!」
ほぅっと一息着いてから、安堵で地面へとへたり込んだ。
図書館を追い出されてどうしようかと悩んでいたのだ。
同僚にも見放され、自分ひとりで取り組まなければならないと意地になっていたのだが。
やはり自分ひとりでなんて、とても出来そうにないと頭の片隅でわかっていた。
「あ、ところで…お前の名前聞いてないってば?」
「あぁ。俺はシカマル、奈良シカマルだ。お前は?」
「ならシカマル…覚えたってば!俺はうずまきナルトだってばよ!これからよろしくってば!」
座り込んでいたナルトにシカマルは小さな手を差し出して、こちらこそ、と言った。
差し出された手を照れつつも、一回り大きな手で包み込んだ。
包み込んだシカマルの手は子どもにしては低温で、どちらかといえばナルトの方が高いくらい。
立ち上がったナルトは嬉しそうにつないだ手をぶんぶんと振りながら、今後についてシカマルと話し始めた。
シカマルはこれからナルトにものを教えるということがどんなに難しいことかを知り、少しだけ後悔するとか。
もちろんそれを見たナルトは俺ってやっぱり、と自己嫌悪に陥って。
それをシカマルが仕方なさそうに、それでも放っておけないと慰めるのだが。
その一連の二人のやり取りを見た同僚は後に、どちらが子どもかわからないと綱手に漏らしたという。