やっぱり手に余ったのか…と人々は噂したが、実際はその処理能力高さに火影は解任を渋ったのだ。
しかしナルトのお願い(脅し)により解任することになったのである。
シカマルが通常任務に戻ったので、任務に言っている間に奈良家の当主であり、シカマルの父であるシカクを呼び出すことにした。
こういう面を見ると火影に必要なのは行動力なのではないかと考えてしまう。
コンコン。
「誰じゃ。」
「奈良家のシカクです。ご命令により参りました。」
「シカクか。入るがよい。」
「は!では失礼いたします。」
「うむ。」
ギイ、音を立ててドアを開けるが、入ってきたものに気配は感じられない。
さすがに旧家の当主だけある。
「それで今日は少し相談したいことがあってのぅ。」
「それは私のことですか。それとも先日解任になった愚息のことでしょうか。」
「いやいや、おぬしの息子には世話になった。非常に助かったぞ。」
「そうでしたか。それならばどのようなお話で…?」
「うむ。実はおぬしの息子のことでのぅ。息子には縁談は来ておらぬのか?」
何か不手際がおこって説教でもされるのかと思ったが、案外機嫌がよさそうなのでシカクは内心安心していた。
頭をぽりぽりとかき、苦笑しながら、
「まぁうだつのあがらない愚息にしては結構いい縁談が来てますが…本人にその気がないようで…まだまだ先にですね。」
「そうか。それはちょうどいいわぃ。確かおぬしのところには幼い娘がおったと思うが。」
「よくご存知で。今年で7歳になります。兄よりもやる気がありよく修行を付けています。」
「そうか。実はシカマルに進めたい縁談があるのじゃが。」
「は。それはどのようなお家の娘でしょうか。」
「まずは話を聞いてくれんか。実はわしの養い子であるうずまきナルトが多くの縁談を申し込まれていることを知っているかのぅ。」
「それはもちろん。よく存じております。何しろうずまきは里一番の稼ぎ頭。人気があるのは当然でしょう。」
うんうん、と頷きくシカク。
さらに話は続く。
「それが実は娘だけでなく息子を持っている家からも縁談が来てのぅ。困っておるのじゃ。」
「なんと!それはお困りですな。ちなみにどこから来ているのですか?」
「うむ、それが名家ばかりでのぅ。日向、犬塚、うちは、油女、カカシ上忍などだのぅ。カカシはよいのじゃが、他のものたちにはそれなりの理由が必要で、困っておるんじゃ。」
と困った顔つきでシカクに問いかける。
「それはお困りで、その候補の中によい方はおられなかったのですか…」
「うぅむ、それがナルトには想い人がいるようでのぅ。何とか穏便に断ってやりたいのじゃ。」
「そうですか…しかしよい方法でも?」
「そこでおぬしに頼みがあるのじゃが…幸いシカマルにその気はなさそうじゃ。じゃからちょっと婚約したふりをしてもらいたいのじゃが。」
火影の提案に、シカクは思わず声がうわずってしまう。
「あ、あのっそれはかまわないのですが、男でもよろしいのでしょうか?」
「その方が忍耐があってよかろう。なにせ相手にするのは男の方が多いからのぅ。」
「さようですか…愚息でよろしいのであればこちらとしては構いませんが…その想い人に勘違いされませんか?」
「それは大丈夫じゃ、この件のことは説明しておるといっておった。まだ片思いじゃが…おっとこれは内緒にしておいてくれ。」
「わかりました。じゃぁどのような形で発表すればよろしいでしょうか?」
「そうじゃのう。家の方に迷惑が行ってはいかんから、こちらから申し込んだ形をとってよいかのぅ。詳しいことは後ほどナルトと話し合って伝えるということで。」
「はいわかりました。じゃあ詳しいことが決まったら、シカマルに伝えるということで。」
「うむ。頼んだぞ。面倒なことを頼んですまんな。」
「いえいえ。そのようなことは…では失礼します。」
かちゃ。
シカクがドアを閉め、退室した。
ふぅうまくいったわい。
これくらいなら、ナルトも何もいわんじゃろ。
後はナルト次第じゃ。
話すのが楽しみじゃのぅ。
ふぅ、かなり長い間話したぞ。
あ~疲れた。
しかしこんなことを頼まれるなんて想像してなかったなぁ。
確かにうずまきの噂はすごいがここまでとは思わなかった。
まぁ男にしては綺麗なやつだとは思っていたが、なぜうちにこの役目が…
うずまきの想い人って、ひょっとして…
まさかな。うちの愚息をなんてありえないよな、あんなやる気無し。
あいつなら余計なことしないし、ちょうどよかったのかも。
先日の人事もこれのためだったのか。
と一人納得すシカクの姿があった。