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ここは日記+駄文しかおいておりません。 現在はnaruto・銀魂を主としております。 原作には全く関係ありません。 若干女性向けの表現がありますのでどうぞ注意してお入りください。 最初に案内をお読みいただけると助かります。
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2025/06/15 (Sun)

 若干、銀土らしき表現があるかもしれませんので、無理!という人はお気をつけください

 銀時を嫌いではないのですが、この先の展開でどうなるかわかりません。

ですので銀時好きの人にご気分を悪くされましたら申し訳なく思いますが、ご了承ください。

それでは駄文ではございますがお楽しみいただければと思っております

5.気まずい雰囲気
 
 
 
お菓子を買った後、3人で屯序に向かった。
その途中で銀時は土方の事をしつこく聞いてくるもんだから、意趣返しにチャイナのことを聞きまくったら、ニヤニヤと笑い出した。
どうも勘違いされたらしい。
お父さんは許しません!とか訳のわからないことを言われつつ、そんなこんなで屯序を出てから1時間半。
山崎と別れてそれほど時間はたっていないはずなのに、沖田にとって巡回はとても長いものだった。
 
 
 
 
「山崎ぃ。帰りやしたぜぃ。」
「総悟~そんなすぐにこれるわけないだろ?」
と近藤は言うが、こちらに向かってものすごいスピードで向かってくる人間の気配を感じている俺は、すぐ来やすぜ、と言ってやった。
ぞうりを脱いでいると、
 
「おかえりなさい!!」
と大きな声が聞こえてきたので、走ってきて息の荒い山崎を見て旦那は笑い出した。
忠犬でも思い出したのだろうか。
近藤さんは後ろで参ったと、手を上げている。
どんなもんでぃ。
これだから天邪鬼な俺でも優しくしてやりたくなるんでさぁ。
 
山崎は大笑いされて少々不満そうだったが、律儀な性格のせいか、3人分のスリッパを並べてくれていた。
その顔がなんだかかわいくて、無意識に手を頭に添えてしまったのだけど。
頭をなでる俺の顔を見て笑ってくれて。
そういえば、とお土産を買ったことを思い出し、お土産を山崎に渡した。
 
「これ、お土産でぃ。」
 
尻尾があったら、ぶんぶんと振っていただろうってくらいに山崎は喜んで、これなんですかぁ、とかどこで買ったんですかぁ、と聞いていた。
その様子をニコニコと見ていると、横からニュウッと出てきた腕が沖田の方に回された。
横を見ると至近距離に銀時の横顔があり、正直うざい。
その様子を見て、近藤は沖田が暴れださないか、と内心ひやひやしていた。
気に入らないやつは一刀両断が沖田の考え方だから。
いくら腕の立つ銀時といえども沖田と戦えばどちらが勝つか、近藤にも予想がつかなかった。
これはねぇ、と説明をしだした銀時の口をぎゅっと押さえ、沖田は山崎に早くお茶にしよう、と切り出した。
それを見た山崎は笑いながら、はい、と答え、お茶の準備をするために台所に向かった。
「で、多串君は?」
と副長のことがそんなに気になるのか、かなりしつこい。
「それなら山崎が知ってるんじゃねぇか?さっきまで一緒だったんだろう。」
じゃあ後でいっか、と言いながら、屯序の中をきょろきょろと見回す。
いつも仮装したり、逮捕されたりとまともに正面から普通に入ったことは初めてなので、ものめずらしいのだろう。
お茶の用意が出来たのか、お盆に急須を2つと、湯便を3つ載せてもってきた。
「でどこで食べるんですか?」
「そうですねぃ。土方さんのところはどうですかぃ?旦那も気になってるようでさぁ。」
「あ、あの土方さんは今寝てるんですけど…」
「え!?寝てるの!あんなに俺が言っても休まなかったのに!」
と近藤は驚いて山崎に詰め寄る。
「え、あ、あの…無理やりって感じなんですけど…」
やっぱ俺って存在薄いのかな、なんて近藤は自分の存在意義について深く考え込みそうになる。
土方のよくない噂を聞いて、何度となく足を運んだのに、最後に出る言葉は出ていけというひどいものだったから。
俺、上に立つ才能なんてないのかも、なんて柄にもなく近藤は落ち込んでいたのだが、沖田と銀時は気にしてもいなかった、というか気づいていない。
気づかれもしない、と落ち込んでいると、
「局長、副長は局長がみんなのことを気遣ってくれるから好き勝手できるんですよ!」
元気出してくださいと、背中を叩かれた。
それはもう、ばっしぃ!!と。
「いってぇ~!!」
いきなり大声を出した俺に二人はびっくりしたらしい。
山崎の方を見れば、さっきはお盆を下においていたのだろうが、いつのまにか両手で盆を持ってあっちの方向を見ている。
「「どうしたんでさぁ(の)?」」
「い、いやなんでもない。」
と手を振りつつも、背中がジンジンしてとても痛い。
じろぉと山崎を見るが、これも山崎流の慰め方なのだろう。
ふと気がつけば、さっきまで落ち込んでいたのがうそみたいに気分が爽快で、背中が痛い。
「…山崎ありがと。」
と背中を押さえながらも礼を言うと、こちらこそすみません、と逆に謝られてしまった。
やりすぎてしまったと思っているのかもしれない。
でも俺の思考が浮上したのを感じ取ったのか、はは、と安心したように笑った。
 
「で、多串君寝てるの?せっかく会いに来たのになぁ。」
「…あのですね。さっきから気になっていたんですけど、何でそんなに会いたいんですか?」
と山崎は笑いながら、銀時に話しかけた。
いや、目が笑ってないって!目が!
「いやぁ。なんでもないんだけど~最近会ってないなぁって。それより早く食べないとせっかく用意したお茶が冷めちゃうよ?」
いやぁやばいやばい、あの目は怖すぎるって!ほんとに!
ジミー君は地味で存在感なさそうだけど、意外に…なんか逆らっちゃいけないオーラがたまに出すんだだよねぇ。
二人もジミー君には一目置いてるみたいだし、多串君のことで下手なこと言えそうにないな、これは。
「そうだなぁ。トシが寝てるんじゃその邪魔しちゃいけねぇよな。」
「気にしないでいいでさぁ。土方さんは何が起こっても、起きない神経の持ち主でさぁ。とにかく行きやすぜぃ。」
と土方の部屋の方へと先頭を切って進んだ。
山崎は助けを求めて近藤を見るが、仕方がないとでもいうように肩をすくめ、沖田の後について歩いていってしまった。
その後山崎が何度駄目と言っても、その集団はとまることはなく。
ほんの数分で土方の部屋につくこととなった。
 
部屋の前に着くと、勢いよく開けようとした隊長を山崎は押し止めた。
「お、俺が開けます!ちょっとお盆持っててください。」
と隊長にお盆を渡し、銀時にはお菓子の紙袋を持ってもらった。
そろー、と少しずつ障子を開け、その隙間から副長がもう起きているのか確かめようとした。
やはり起きていないようで、布団は丸まったままだ。
この姿を皆に見せるのはもったいない気がしたが、このまま起こさないともっと酷いことになる!と思い、人が1人ぎりぎり通れるくらい開けた。
ばっと中に入り、慌てて布団後と副長を揺すって起こそうとした。
「何それ?かわいいね~。多串君寝てるの?」
と言いながら、銀時が近づいてきた。
山崎はさっきから怪しい発言をする銀時を自分のブラックリストに入れておいたのだが、どうも副長を狙っているのか、そういう雰囲気が匂ってくる。
「ふくちょ~!!起きてくださいよ~!!」
と顔を見せてはヤバイと、布団の中に手を突っ込み、髪のようなものを引っ張る。
「いて!なにすんだてめぇ!」
とバッと布団の中から出てきた土方はなぜ自分の部屋にこんなに集まっているのかとびっくりし、カアァと顔を赤くした。
 
「このやろぅ!!何しやがったんだぁ!」
と俺の一番近くにいた山崎の首元をつかみ、ぶんぶんと揺らす。
ほぼ八つ当たりのようだものだ。
「成り行きでこうなったんですよぉ!俺のせいじゃありませんって!それに一番最初に副長起こしたんだから許してくださいよ~!」
「うるせぇ!お前がうるさく言うから寝たって言うのに!こ「いいかげんしてくだせぃ!」
殴りかかろうとしていた土方の手を押さえ、山崎の肩をつかんでをグイッと自分の方に引き寄せた。
山崎は急に引き寄せられ、突然怒鳴る沖田に驚いた。
「俺がここで食べるって無理やりここまで来たんですぜぃ。でも山崎がどうしてもあんたを起こすっていうから、皆待ってたんでさぁ。」
「へぇぇ、そうかい。そりゃ悪うござんした!俺は別の部屋でまた寝なおすぜ。」
俺が悪いのかよ。
山崎が俺に寝ろ寝ろうるさいから、仕方なく寝たって言うのに。
沖田に庇われる山崎にむかついたことには気がつかないふりをして、悪態をつく。
「トシ~いいじゃねぇか。総悟も悪気はなかったんだよ。」
と近藤がフォローするが、すまねぇと土方はいい、出口の方に向かった。
山崎は出て行こうとした副長の腕をぐっとつかみ「「一緒に食べましょうよ(一緒に食べようよ)」」といった。
…いや山崎だけではなく銀時も土方の腕をつかんでいたらしい。
山崎が引きとめようとしたことはわかるのだが、なぜ銀時がここで出てくるのだろう。山崎と土方は眼を丸くして銀時を凝視する。
「…っていうかなんでおまえここにいんの?」
「え?誰のことひょっとしておれぇ~!?」
と自分を指差しながら、銀時はつかんでいた土方の腕に自分の腕を絡める。
「お前に決まってんだろうが!なにこんな奥まで入って来てんだよ!近藤さんも止めてくれよ!」
ぶんっと銀時の手を払い、今度は怒りの矛先が局長に向く。
俺が悪いの?!と関係ないのに攻められる混同の間に山崎が割って入って、その場は何とか収まりをつけた。
 
不満顔、呆れ顔など様々な感情を抑えつつ一同は土方の部屋で一息ついた。
不満そうにしているのは土方と沖田。
唯一楽しそうにしていたのは銀時だけだったのだけど。
 
 
 
 
 
「あ~やっぱり!お茶ぬるくなってましたよ。ちょっといれてきますね!」
そういい残し、バタバタと走ってお盆を持っていった。
後に残った者たちには沈黙が続いた。
その中でも一番居心地悪そうなのは近藤局長だった。
俺、ちょっと帰りたいかも、て言うか俺ここにいなくても大丈夫だろ!
そう思い、俺ちょっと仕事があるから!といい、立ち上がり、皆が止める間もなく素早く部屋を後にする。
よかったぁ!あそこにあのままいたら寿命が縮まる思いだったぜ。
すまん!山崎!後は頼んだぞ!
と何があってももう放っておこうと心に決めたのだった。
 
 
「いっちまいやしたねぃ。愛想着かされたかもしれませんぜぃ。」
「いっちまったなぁ。だが近藤さんがこれくらいで愛想尽かすわけねーだろうが、あのお妙さんにだって愛想ついてねーんだから。」
二人はお互いの顔を穴の開くほどにらみ合っている。
だが双方共バランスのとれたきれいな顔をしているので、見ている分にはいい、と二人のにらみ合いを銀時は気にしなかった。
しかしさっきの多串君かわいかったなぁ。
寝起きだったのか目がとろんとしていたし、山崎君がいなかったら飛びついていたかも。
なんて山崎が聞いたら笑顔で刀を抜くかもしれないようなことを、銀時はニヤニヤとしながら考えていた。
その銀時の様子を見て毒を抜かれたのかあきれたのか、若干引き気味の二人はあぁはなるまいと心に誓った。
二人にとって、銀時はいい反面教師なのかもしれない。
 
「で、山崎とは仲良くやっているそうだが、何で山崎を助勤にしようと思ったんだ。」
「…そりゃ山崎は優秀なやつだからでさぁ。」
銀時は総悟の言葉にうんうん、と同意を示す。
「旦那もそう思ってるっようですぜぃ。」
「お前が何でわかるんだよ!そんなに話したことなんてないだろうが。」
そんなことない、とでもいうかのようにブンブンと手を振った。
「ジミー君って結構強いと思うよ。普通っぽいけど、殴られてもつっこむし、君たちとも普通に付き合ってるしね。」
「そうでさぁ。普通の隊士なら怖がって俺たちに意見なんてしないですぜぃ。」
と反論され、言葉に詰まる。
しばらく沈黙が部屋を支配した。
 
 
 
 
タタタタと廊下を書ける足音がして、山崎がガラッと部屋のドアを開けた。
「おまたせしましたぁ。」
今度は大きなお盆に先ほど載せていた急須と湯ビンと小さなお皿を載せもってきた。
障子を開けて、下においておいたお盆を持って部屋の中に入った。
「あれぇ。局長はどうしたんですか?」
「局長ならお多恵さんのことが気になるって出て行きやしたぜ。」
「あぁそうですか。」
なんだ、というかのように気にせずにお盆を下において、障子をパタンと閉めた。
 
 
 
 
 
「じゃあいただいたお菓子早速開けさせてもらいますね~!」
と紙袋の中から包装紙で包まれた箱を取り出し、ガサガサと包装紙をやぶらないように綺麗に開けた。
「うわぁ。おいしそうですね~!ありがとうございました!」
箱の中には様々な形をした和菓子が並んでいた。
そのどれもがかわいくて、色とりどりの綺麗な色をしていて食べるのがもったいないくらいの芸術品だ。
「じゃぁどれがいいですか?」
「俺これがいいんだ…けどジミー君が最初に選んだら?」
銀時はこのとき鋭い殺気を自分だけにあてられたことに気づく。
誰とはいわないが…
このまま自分がお菓子を選んでは切られるかもしれないと思い、山崎に譲る。
「そうしなせぃ。退のために買ってきたんだから。」
ぽんぽんと銀時の肩を叩いて、山崎に選ぶよう促した。
「っていうか下の名前退っていうんだー。下の名前呼ぶなんて仲いいんだねぇ。」
その横では土方の機嫌が一気に下降する。
なんで総悟なんかに名前呼ばせてんだと、土方は自分でも訳のわからない怒りをかんじていた。
口にこそ出さないものの、目はギラギラ、全身から殺気がにじみ出ていた。
「じゃあこれをもらいますね。ありがとうございます。じゃあ皆はどれにしますか?」
と箱から目を離し、土方を見ると山崎はぎょっとした。
じわじわと…土方の体から黒いオーラがあふれているような気がしたからだ。
「ふ、副長?どうしたんですか?」
「あぁ?何でもねぇよ。さっさと選べや。」
「そうですか?じゃあお皿あるので自分の分それに入れて食べてくださいね。」
と土方の機嫌が急に悪くなってもいつものことだと気にせず、人数分お茶を注ぐ。
何が土方を怒らせたのかに山崎が気づくことはない。
自分のミスで土方が怒ることはあっても、名前を呼ばせたくらいで怒るなんて考えもしなかった。
土方の中で自分の存在なんてたいしたことないと思っていたのだから。
 
 
 
 
 
 
 
「多串く~ん。もっと味わって食べようよ!これ本当においしいんだから。」
「うるせぇ。」
土方は和菓子を一口で黙々と食べていた。
情緒も味もありゃしない。
そんな食べ方ではせっかくのお菓子がかわいそうだ!と銀時という。
「そうですよ~せっかく隊長が買ってきてくれたんだから~」
といいつつ、山崎はお菓子を愛でながら、おいしそうに食べていた。
とても幸せそうに沖田の買ってきたお菓子を食べるので、土方はさらにイラつく自分にきづく。
「さがる~?隊長じゃねーぜ。」
沖田が山崎の名前を再度読んだ途端、部屋の空気が更に重くなった。
その重たい雰囲気は土方から発せられている。
さすがに山崎にもなぜ土方の機嫌が悪くなったのか、わかったようだ。
仕事中に隊長である沖田の名前を呼ぶなんて、公私混同だ…他の隊士に示しがつかない…そう思って怒っているのではないかと。
山崎はそう結論付けた…本当の理由には気づくことなく…
しかし土方に謝ろうにもこの場で謝れば沖田に非があると思われそうで…黙してしまう。
そのまま無言で黙っていると、沖田の機嫌まで悪くなっていくのがわかった。
 
あ~もう俺にどうすればいいんだよ!
俺のいない間にいなくなった近藤さんの気持ちがわかるっってか俺を見捨てないでくださいよぉ。
いなくなった局長についつい恨み言を言ってしまう。
こんなところから逃げ出したくなる気持ちはわかるんだけど。
 
「あ"~~俺ちょっとお菓子局長のところに届けてきますね?お菓子おいしかったです!ありがとうございます。」
バッと立ち上がり、先ほどの近藤と同じようにさっさとお菓子を数個もって部屋を出る。
「俺も一緒に行きまさぁ。」
と山崎と一緒に沖田も出て行った。
後に残ったのは超不機嫌な土方と、下心満載な銀時だった。
 
 
「多串くん。ひょっとしてジミーくんのこと好きだったりして。」
横目でチラッと土方の方を見やりながら、いきなり確信をつく。
銀時はどう土方を落とそうか熟考していた。
十中八九好きなんだろうな。気づいているかはわからんけど。
でも俺もあきらめる気もないしねー。
都合よく横に布団も引いてあることだし。
 
「はぁ?なに言ってんだよ。俺がそんなわけねーだろ。第一あいつは男だぜ?いくら気が利くって言ってもなぁ。」
「ふぅん。でもお宅の隊長さんはその気満々って感じだったけど。今だって配置換えしてるんでしょ?」
カァッと怒りで土方の顔が高潮した。
そうそう、この顔なんだよね。
あーかわいいなぁ。
「そんなわけねぇだろ!?それにあいつは、あいつはそんなんじゃねぇ…はずだ。それに男同士じゃねぇかよ。」
そう言い放って、ぐぃっと山崎の入れたお茶を飲み干す。
そう俺たちは男同士だ。
それにあいつはただの部下じゃねぇかよ。
「もうお前帰れよ。用事ネェだろ?」
「それがそうもいかないんだよねぇ。」
土方の腕をつかみ、どさっと布団の方に押し倒した。
「俺、多串くんのこと気に入ってるんだよねぇ。男通しのやり方教えてあげるよ。」
 
 
マジですか!?
首から顔が取れそうになるくらい、ぶんぶんと顔を振るが俺の上から銀時が動く気配はない。
それどころかいたるところを触ってくるんですけど!
がっちり動けないように拘束されてしまって、逃げたくても逃げることが出来ない。
あぁ誰でもいいから助けてくれ!
っていうか助けろ!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「局長。お茶を入れてきましたよ。」
障子を開け、覗き込むと誰もいない。
「きょくちょ~?」
机にお盆を置き周りを探すと、机の下に隠れていた。
あんた、何やってるんですか。
「いやぁ。山崎おいて逃げてきたから、怒ったのかなぁと思って。」
「そりゃ、ちょっとは思いましたけど。気持ちわかりますし。」
「そうか。すまん。ありがとうな。」
「いえいえ。」
局長はほっとしたように机の下から出てきた。
机にお茶とお菓子を出し、どうぞ、と差し出すと、それを近藤は嬉しそうに飲みほした。
その様子に山崎は先ほどまでの緊張から解放され、ほっと一息つく。
「そういえばトシの様子どうだったんだ?山崎」
ふと思い出したように近藤は質問する。
「元気そうでしたよ~。でも休んでないらしくって動きが緩慢でした。さっき少し寝てもらったんですけど…どうでしょうか」
「そうか…ありがとう。やっぱり山崎じゃないとだめだなぁ。」
「え?そ、そんなことないですよ!」
「そうそう、そんなことねいですぜぃ。今は一番隊の助勤でさぁ。」
憮然とした表情をしていう沖田に山崎は困ったように笑った。
「あのなぁ。もともと山崎はトシの助勤だっただろ?助勤がほしいんなら他の監察つけてやっから!」
「俺は山崎がいいんでさぁ!」
「まぁ、そういうな。以前だってトシと行動一緒にしてたから山崎とも一緒にいる時間多かったろ?それに副長の助勤をやれる監察は山崎しかいねぇんだ。堪忍してくれ!」
「……やだ。」
「そういうなって。そういえば帰ってくるとき銀時いたよな?どこに行ったんだ?」
近藤が言い終わらないうちに山崎は顔を青くして、走って部屋を出る。
 
 
 
「そういえば、今って銀時とトシって二人きりなのか?」
「そ、うですねぇ。隊長ここにいますし…ってかすみません!失礼します!」
山崎は風のようにあっという間にその部屋から姿を消した。
銀時と土方が二人だと危険だ…戸考える前に体が動いたのだ。
その俊敏な動きは忍びのもので、新撰組一の腕を持っている沖田の目で捉えることはできなかった。
しかし沖田は山崎の先ほどまでいただろう、位置をじっと見つめていた。
「総悟…大丈夫か?」
「どうしてそんなこと聞くんですかぃ?」
名残惜しそうに振り向いた沖田には、いつもの仏頂面で、動揺を見られなかったけど。
志村妙にオープンにではあるが恋心を抱いていた近藤には何か感じるものがあった。
それを思うと平常を装っている沖田が切なくて、俺にだけでも心のうちを打ち明けてくれたら、と思う。
しかしいつも破天荒なことばかりしている沖田だったが、自分に厳しく他のものに自分の弱い部分を見せるのをひどく嫌っている面があるから。
それは持って生まれた天性の剣舞の才のせいなのだろうか、早くに道場でも頭角を現していた沖田は人に頼ると言うことを知らないのかもしれない。
「…俺はいいんでさぁ。傍にいてくれさえすれば。」
だ~、と俺の涙腺が緩み、涙が滝のように流れた。
「ぐぉ~!そうだよなぁ!俺もそうだぞ!会えるだけで最高だよなぁ。!」
と近藤は沖田を力いっぱい抱きしめながら、号泣した。
傍目から見れば、それは嫌がる子供を抱きしめる、…いやしめつける父親のようだった。
実際近藤の力は強すぎて、だんだんと沖田の顔は青白くなっていた。
「こんどうさ、きつ…」
ガク、っと事切れる沖田。
「あぁ!どうしたんだ!」
あんたのせいですよ。あんたの馬鹿力のせいですって。
「そうか、あまりにショックがでかすぎて耐え切れなくなったんだな!」
だから、あんたのせいですって!
 
 
 
そう訴える沖田の心の声に耳を貸すことなく、近藤はひたすら沖田の身を案じた。
いつもならば、自分のみに危険が迫ればさっと交わすことのできる沖田であったが、この時ばかりは考え事をしていて、周りに注意していなかったのである。
その瞬間をつかれ、近藤の腕に確保された沖田は運が悪かったとしかいえないだろう。
抱き疲れた後も、必死に逃れようとしていたのだが、いかんせん近藤の力が強すぎて…気を失うことになってしまったのである。
 
 
 
あわれ沖田、近藤局長鈍すぎですよ。
 
 
 
 
局長は近藤でいいのか、新撰組よ
 
 
 
 
 
 
しかしそれを突っ込むものは誰もいなかった。
 
 
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