なんか、少しだけ久しぶりーな更新。
私の書き方が悪いのだろうか、何本もちょっとずつ書くから速度が遅い……。
今日はコテツとシカマルの話です。少し短いかな。
あまりコテツが出ているのを見たことがないので、口調が少しおかしいかもしれません(汗
書いていたら、文が横道にそれちゃったので、シカマルがご意見番に指名される話の、以前の話ということになりました。
コレだけでも読めると思います。
なんかシカナル要素0だな(笑
シカナル大好きなのに~!ぽいのが書けない。ラブラブは無理だけど、それらしいの書きたいなぁ。
「くそっ!何で俺ばっかり報告書を手伝わなきゃ何ねーんだよ。」
「仕方ないだろ?お前の報告書、上の人から評価高いんだよ。要点ついてて、わかりやすいって。」
なわけないですよ、と不機嫌そうに額にしわを寄せながらも、さらさらと筆を進める。要点について書かれたメモ用紙と書類を見比べながら。
もちろんこれはシカマルの仕事ではない。
シカマル自身の書類は当の昔に終わっている。
実は…シカマルの書いた任務報告書がとてもわかりやすく、詳しく状況分析まで書き込まれているらしい。という評判を聞いた一部の忍びがも書いてほしいと頼んできたものだ。
もちろん、普通に頼まれてもシカマルはめんどくさいといって絶対引き受けなかっただろう。
しかし先輩の忍び達に依頼人:代表として祭り上げられていたイノに、お願い、頼むわ、ととても心苦しそうに頼まれれば断ることができなかった。
いくら気が強いイノであっても、まだ中忍になりたての新人なのだ。
先輩から頭を下げられては、無下にできなかったのだろう。
それがわかっていたからこそ、イノの顔を立てるためにもシカマルは一回だけという約束で引き受けたのだ。
その一回きりに便乗した奴の多いことといったら…
またこの次、そんなことをイノに頼もうと企む輩がいたらシカマルは容赦なく叩き潰すつもりだ。
イノの人の良い性格に付け込んだことにも怒りを感じていたが、何より、自分の仕事が増えたことに対しシカマルは憤怒していたのだ。
自分の仕事だけでもいっぱいいっぱいだというのに。
なぜ自分が他人の仕事まで片付けなければならないのか、と。
その横で一応フォローをしていたのは、はがねコテツという上忍だった。
シカマルが頼まれている現場に居合わせてしまい、手伝ってくれ、と頼まれ断れなかったのだ。
なんというか、少しタイミングの悪い男である。
コテツはその場に居合わせたことに、なんて運が悪いんだ…と自己嫌悪に陥るとともに、横で信じられないほど高速で任務所を作成しているシカマルに驚きを感じていた。
コテツが初めてシカマルを見たのは中忍試験だった。
その頃はまだ中忍で初めての中忍試験管を任され、少しだけ緊張をしていた。
仲のよい神月イズモと一緒だったことで、緊張が緩和されていた部分もあったが。
その合間に試験管仲間で誰が通過するか、合格するかなどについて予想を話し合うこともあった。
有力候補して注目されていたのは木の葉からはうちはサスケ、日向ネジ、そして砂の三人兄弟。
コレは誰もが異議を唱えなかった。次点としては油女シノ。それ以外は横ばいといっていいほどの評価だった。
一次試験、二次試験の段階でもシカマルの印象は薄く、誰もその名前を口にするものはいなかった。
三次試験の時点でさえ、その戦い方に知略を感じるものはあったが合格するとは誰も予想していなかっただろう。
しかし…俺たちの予想に反してテマリ戦ではシカマルは策をはりめぐらし、勝負に勝って試合に負けたというところか。
最初は皆興味がなさそうだったのに、気がつけば会場のもの全員を魅了し、強い衝撃を与えていた。
この時だ、もしかしたら中忍に合格するのは…と俺が思ったのは。
そして。木の葉崩しも終わり、中忍に昇格したのはただ一人、シカマルだった。
自分の担当した試験で昇格したシカマルに俺はかなり親近感を感じていたし、任務で一緒にチームを組むことも多かったので、先輩後輩ではあるけれど今では砕けた口調で話すようになった。
それに任務で一緒になった時いかに早く、しかも安全に任務を遂行するためにどうすればいいか、それをよくわかっている男だということをコテツは尊敬の念とともに感じた。
だから自然と周りからは信頼を受け、めんどくさいといいつつも仲間に危険が迫れば頼りになる男だということが認識されつつあった。
そんな男だからこそ、周囲からのやっかみも多少あったのだが。
本人は気にも留めていないが、一回で中忍になったくせに、いまだに上忍になれていない、と陰口をたたく馬鹿は少なからずいた。
しかし上忍試験を受けないのは本人の意思であり、俺からいえば実力はその陰口をたたいているやつよりはるかに上だ。
正直、本気を出したところを見たことがないので、どのくらい強いかコテツにもはっきりしたことはわからなかった。
ただ、こいつは将来木の葉にとってなくてはならない存在になる、と漠然とではあるがコテツはそう思った。
「ったく任務にも行ってもいない俺が書いても、ただの事後報告じゃねぇか。ぜってー書き直し要求されるんじゃねーのか?」
「そんなことないぜ?状況と結果、そして分析さえ書けば、たいていは通る?」
納得していない様子で、シカマルはコテツをじろりとにらむ。
「あんたが、火影様がほめてたことみんなに言ったんじゃないっすか?」
「ち、違うって!俺じゃなくて、火影様がみんなに言いふらしたんだよ。」
コテツは慌ててシカマルに俺じゃない、と訴えた。
その後で、あ、と思わず口をふさぐ。
シカマルだけには言うな、と口止めされていたのに。
「はぁ?火影様が何でそんなこと言うんですか?」
話してしまったものは仕方がない、とコテツは観念したように口を開いた。
「あ~なんかシカマルに早く昇進してほしいみたいなこと言ってたらしいな。」
「へぇ。そんなの個人の自由だっつーの!」
余計なことを行った綱手に対し、ブツブツと暴言を吐く。
しかし綱手の気持ちが少しだけわかるコテツは…胸に潜む疑問をシカマルにぶつけた。
「でもよぉ。俺もなんで上忍試験受けねぇのか、とか少しは思うぜ。絶対受けても通るだろ?」
「…はぁ。まーコテツさんならいいか。そりゃ通るかも知れねーですけど。上忍になったら今より絶対忙しくなって、危険だって多くなる。それ考えるとなんで皆昇進したいいのか、俺にはわかんないんですよね。」
げんなり…という感じて、シカマルは言葉を漏らした。
本当に、変わった奴だな、と心の中で笑いながらも、コテツは自分自身について思い返した。
中忍になって、しばらくたった頃、上忍試験を受けてみないか、と聞かれたときの事を。
その時、俺は迷うことなく受ける、という答えを出した。
中忍という立場に不満があったわけではないけれど。
やはり昇格したい、という希望はあったし、何よりも今よりももっと強くなりたいと思っていたから。
たとえ困難な任務に就くことになるとしても…それが忍びにとっての存在意義ではないだろうか、と。
そして試験に受かり、上忍になった今。あの時試験を受けてよかった、と思う。
しかしシカマルには強くなりたいとかそういったことを考えたことがないのかもしれない。
話のの節々で強さよりも平穏が大切、と考えているように感じるからだ。
「そうか…そう、だよな。…なんかお前見てると平和だなーってつくづく思えるな。」
と言葉にして、確かにシカマルの顔を見てると気が抜けるなぁ、と納得する。
「そうっすか?」
何やら失礼なことを考えていそうだと感じたシカマルは不満そうに睨む。
シカマルのしかめっ面に、コテツは苦笑した。
自分の頭の中をシカマルに見透かされているような気がして。
「そうだって。俺は中忍よりも上忍になった今の方が充実してると思ってる。そりゃ危険は増えるけど。それを乗り越えたっていう自信だってつくしな。」
「確かに…それはそう思いますけど。その自信よりも今の平穏の方が俺にとっては大事ですね。」
と言いながら、シカマルは書類の方へと視線を戻した。
「でもなぁ。シカマルなら…絶対上まで上り詰められると思うんだけどな。」
こいつだったら…という期待。
どんなに困難な状況であっても大丈夫、と思わせる安心感。
それをシカマルに感じるのは俺だけではないはずだ。
たぶん、こいつの同期や任務を共にした連中なら皆それを感じているはず。
だからだろうか。
中忍のままだらだらと過ごしているシカマルに少しだけ苛立ちを感じてしまうのは。
そこまで考え、コテツははぁ、とため息を漏らした。
俺がどう思おうと外野がいくらうるさく言ったとしても、決めるのはシカマルだ。
そして…シカマルが意見を変えることはないだろう。
もう一度、深いため息を漏らして、書類を書き続けるシカマルの方を見た。
大きな野心もなく、頭脳は明晰で仲間思い。
上に立つものとしてこれ以上ないほど、資質を持っているというのに…。
もったいない、とコテツは思いながらも、時間は過ぎ。
「やっと終わったぜ。」
グデーと体をいすに預け、書き続けて痛くなった手首をぐるぐると回し始めた。
「お疲れさん。」
シカマルの労をねぎらうかのように、コテツはシカマルの肩にぽんと手を置いた。
「あーも、こんなこともう絶対しないっすよ!」
コテツの方へと振り返って、シカマルは断言する。
周りに情報を流しといてください、といいながら。
「わかったって。」
シカマルにいいように使われているような気がしないでもないが、コテツは気にせず了承した。
しかしさっきまで考えていたことが頭から離れず、ついシカマルの方を見てしまう。
「今日は付き合ってくれてありがとうございます。すごく助かりました。」
ぺこ、と頭を下げてシカマルはいつになく慇懃で。
コテツも一緒になって頭を下げた。
「気にしないでいいって。片付けたのはほとんどお前だしな。」
「そんなことないっすよ。じゃあ帰りますか。」
「あぁ。そうだな。」
外にでると、もうあたりはすっかり暗くなっていて。
かなりの時間をそこで過ごしていた。
「今日は早く帰れると思ったのになぁ。」
空を見つめながらシカマルは呟いた。
「そうだな。」
「………。」
シカマルは少し黙った後、コテツのほうに顔を向けて。
「…俺、コテツさんが期待してくれているのは嬉しいと思ってます。でも…今のところやる気というか、上忍になろうとは全然思ってないので…すみません。」
本当に、と頭をまた下げだしたシカマルをコテツは慌てて体を元に戻させる。
「ちょ、別に謝らなくてもいいんだよ!俺が勝手に期待してるだけだから。」
「うす。」
コクン、とシカマルは頷いた。
それを見ながら、やっぱりかなわない、とコテツは思う。
こいつも人の期待に応えたい、そういう気持ちが少しはあるのだろう。
だけど。
自分の考え方との矛盾に板ばさみになって。
結局は平穏を選ぶのだ。
誰の意見にも左右されず、自分のポリシーを曲げない。そういうところが、とてもシカマルらしい、と思った。
しかし、これから先。
きっと本人の意思にかかわらず、上に行くことになるだろう、と。
それは俺の期待だけではなく、近い将来に必ず起こるだろうという絶対的な予感。
そのときは力になってやりたい。
「じゃあ帰るか。」
「はい。」
そしてその予感は現実となり、後日知らされることとなる。