■ 片想い中の 20 のお題
02.特別になりたい
自覚した瞬間から、君は俺にとって特別な人。
でも君は俺のことをどう思ってるんだろう??
二人の会話を聞いた後、俺はふらふらとした足取りで家に戻った。
シカマルがこんなこと言うなんて思わなかった。
今まで俺の周りにいた連中は自分が一番な奴ばかりで、今の仲間もそうだったから。
だからそれが当たり前で淋しいとも、悲しいとも思うことなんてなかった。
でも今は
初めてほしいと思った。
初めて自分から…願ってしまった。
特別になりたいと。
でも俺は嫌われ者の狐つきの化け物で。
あいつに見せているのは偽りの自分。
本当の自分なんて誰にも見せたこと、ない。
アカデミーにいる時だって、シカマルのことこんな風に思わなかった。
だって目立たなかったから。
ただ他の奴と違っていじめたり、同調しないから変なやつだなぁと思ってたけど。
でもキバやチョウジと一緒に俺と遊んだことある、数少ないクラスメート。
これからどう接したらいいんだろう。
今までと同じになんて、できない。
どうすればいいんだろう。
どうしたら君の特別になれるのだろう。
毎日がそれだけで頭がいっぱいになる。
目に浮かぶのはあいつの笑った顔だけ。
■ 片想い中の 20 のお題
01.自覚、はじまり
初めて会ったときのことなんて覚えてもいない。
その瞬間まで意識したことなんてほんとになかったんだ。
でも君は俺が一番言ってほしかったことを言ってくれた。
くしくもその言葉がむけられたのは他の人だけど。
今回の下忍の試験で見事合格したのはただ一人、奈良シカマル。
その合否を批判する人は誰一人しとしていない。
誰もがその頭脳と引き際のよさに、中忍にふさわしいと認めている。
もちろん俺も今回の受験者の中でシカマルは中忍になるだけの資格を持っていると思う。
常に冷静な目で状況を判断し、引くということを知ってる。
テマリ戦ではもう少し頑張れたのではないか、という声も多かったが。
その判断に間違いはないと思う。
表では木の葉の里でも嫌われものナンバー1で、落ちこぼれ度もダントツだという顔を持つ俺も。
裏では火影に負けない実力を持ち、暗部として活躍するという火影しか知らない秘密。
そんな秘密を持ち、差と銃の人々をだましている俺が、
不覚にも耳を奪われた会話。
「お前はそのままでいいんだぜ。お前はお前、他人は他人だ。気にすんなよ。」
それはシカマルがチョウジを励ますための言葉だったけど。
それだけに俺の胸に響いたんだ。
うそ偽りのない言葉が、
無意識だった。
ほほをつたう水。手で触って、泣いているときがついた。
初めだった。憎しみも、悲しみも何も感じていないのに泣くのは。
ただ嬉しかったのかもしれない。
その瞬間から君は俺の特別な人。