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ここは日記+駄文しかおいておりません。 現在はnaruto・銀魂を主としております。 原作には全く関係ありません。 若干女性向けの表現がありますのでどうぞ注意してお入りください。 最初に案内をお読みいただけると助かります。
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2025/06/15 (Sun)

 

サスケ好きな人をは注意してください!

若干サスケに対し、ネガティブな表現があるかもしれません。

下の文を読んで不快な気分になるかもしれませんので、サスケ好きの人は読まれない方がよいかもしれません。

 

 

  ■ 片想い中の 20 のお題

 05の続き

綱手を木の葉に連れ帰りシカマルたちと顔を会わせた後、面倒くさがる綱手をなだめすかしてナルトは木の葉の病院に連れて行った。
木の葉崩しやイタチの襲撃によって、重症のものや昏睡状態の忍びがまだ多くいたからだ。
綱手の医療忍術をもってすれば、大抵の怪我であれば完全に治すことが出来る。
意識不明で重症患者の筆頭に名を連ねていたカカシとサスケも同様に。
そして。
綱手の治療により意識を回復させ、二人は一命をとりとめた。
しかし……イタチに再び会ったことによってサスケの中にあった憎しみは誰にも止めることが出来ないほど大きなものに育っていた。
ごうごうと音をたて。
憎しみの火は大きく燃え上がり、誰であっても消すことは出来なかった。
 
 
 

「ナルトのおかげよ、本当にありがとう!」
「よかったってばね。サクラちゃん!」
「えぇ!一時はどうなることかと思ったけど、ナルトが綱手様を連れ帰ってきてくれたおかげよ!」
「まー俺にかかれば楽勝だってば!」


そう言葉を交わしたのはつい最近のこと。
綱手の治療のおかげで意識を取り戻したサスケを見て、サクラはよかった、と喜びの涙を流した。
しかし意識が戻ってもサスケの口はぎゅっと閉じて宙をじっと睨んだまま、何も話そうとしない。
その時のサスケの表情に、綱手は以前に感じたことのある危機感を覚えた。
そう、それはとても昔のこと。
大蛇丸が木の葉を抜ける少し前のことだった。
その時の大蛇丸もこんな、狂気と憎しみを灯した瞳をしていた。
大蛇丸とは少し違うけれど、この子もうちは一族の生き残りとして復讐を糧としていると聞く。
ナルト達のように親身に思ってくれる仲間がいるのだから、そんな心配をする必要はないはずだけど。
無性に胸がざわざわと騒いだ。
 

「なぁ、ナルト。あの子は大丈夫なのかい?

綱手が火影に就任して数日後、ナルトは綱手に呼び出され、そう質問された。

「何が?あんたのおかげで元気になっただろうが?
「そうじゃなくて、心がだよ。私の治療で体は治っただろうが、心は違う。かなり危なそうな目をしていたよ。」

そう言われ、ナルトは面倒くさそうにしながら、考え込みだした。
ナルトにとってあの子達は数少ない仲間のはずだ。
だから私も里に帰ってすぐに治療のために病院に向かったのだ。
ナルトのために。
ナルトは望んではないかもしれないかれど、この子のために何かをしてあげたいんだ。
この子に会ったことで、私は自分の無力感と罪の重さに気がつくことが出来たから。
里のものは未だその罪に気づくことはないけれど。
綱手が木の葉に残って三代目の手助けをしていれば少しは違う未来になっていたかもしれない、という後悔を感じながら。
だからなのかもしれない、ナルトには信頼できる仲間を持ってほしいと願うのは。
しかし
「大丈夫じゃないかもね。あいつ自分が一番強いと思ってるし、兄貴との実力の差に愕然としたんじゃねぇかな。」
とナルトはあくまでも冷静で、その言い方には敵意さえ感じるものがある。

「あんたそこまでわかってるなら、何とかしてあげたらいいじゃないの。」
「だってあいつのこと、嫌いなんだよね。なんかすかしてて、不幸自慢してる感じで。」
「確かにあんたから見りゃそうかもしれないが、同じ班同士だろ?

サスケへの敵意を感じ、綱手はもしかしてナルトはあまりいい感情を持っていないのかもしれないと思う。

「同じ班でもサスケとサクラは違う。最初はサクラもサスケのことばっかり気にして嫌な女だったけど、中忍試験からいい方向に変わってきた。でもサスケはいつまでたっても憎しみばかりだ。ライバルとして突っかかるのも正直疲れるよ。」
「そうか

仕方がない、と綱手は思う。
ナルトだって木の葉のことを恨まなかったことなんてないだろう。
ナルト自身に責められるべき点なんてない。
それどころか、本来ならば九尾を封印してくれてありがとうと礼の一つでも言っていいくらいだ。
だから、いつもは生意気なくらい大人ぶったナルトも。
憎しみで雁字搦めに縛られているサスケを見ていると、自分が惨めだと思ってしまうのかもしれない。
憎しみを言葉にするどころか、強くなることさえ認められていない現在の状況を。

「確かにドベ演じながらサスケにつっかかるのは疲れるかもしれないねぇ。そういえば、木の葉に帰って来た時、目つきの悪い餓鬼となんか約束してたねぇ。あんたが誘うなんて珍しい感じがしたけど。あんたにしちゃ珍しく慌ててなかったかぃ?
「へ?そんなわけないだろ?俺はいつも冷静だっつーの!」
さっきまで平静だったナルトのほほに赤みが差す。
それを見て、綱手は驚き、ナルトを面白そうに観察する。
旅先で会ってからずっとナルトを見てきたが、こんなに子どもらしいナルトを見たのは初めてだった。
シカマルとあったときもこんな風にナルトが動揺していたから、面白がって自来也と一緒になってアドバイスなんてしたのだけど。

「へぇ。そんなふうには見えないけどねぇ。」

綱手が面白がっている様子を見て、ナルトはヤバイ、と思った。
生まれてからずっと自分を偽ってきた。
演じるということに関しては自信を持っていたのに、シカマルのことが絡むと簡単に崩れてしまう。

「別に表の俺だったら新技のことを自慢するだろうと思って誘っただけだ。」
「ふぅん。じゃあ螺旋丸見せたんだ?驚いただろうねぇ。」
あぁ。」

歯切れが悪そうなナルトに綱手ははて、と首をかしげた。

「驚いたにしては元気がないねぇ。」
「螺旋丸の威力を見せて、あいつも驚いたようには見えなかったけど、……俺の方が驚かされたっつーの!」

ナルトの驚かせたという発言に、綱手は興味をかきたてられる。
いつも生意気なことばかり言って、周りを振り回しているナルトが、と。
しかし綱手にはナルトが何に驚かされたのか、予想ができなかった。

「それは珍しいねぇ。いったい何が起こったんだい?

興味津々、という感じの綱手にナルトはぐっと口をつぐむ。
綱手に知られれば、面倒ごとになることは免れない。

……
「ナルトったら!」

何度もしつこく質問してくる綱手に、ナルトはついに根負けし、事の顛末を話した。

「ったくしつけーな。話せばいいんだろ、話せば……あの日シカマルにあれ見せたんだけど
「うんうん。」
「一回見ただけでその構造見切られた。」

「へ?」

「だから見せただけで螺旋丸会得されたんだって!」
「はぁ!??なんだって!?あの術は確かに印もいらなくて単純な術だけど、そこらの中忍が見切れるようなレベルの術じゃないんだよ!」
「そんなこと言われなくたってわかってるでも、チャクラが足りなかったとはいえ木枯らし程度だけど発生させたんだ。」

その時のことを思い出したのか、ナルトの眼差しに熱がこもる。

「でもあ、あんな餓鬼が見ただけでなんて、信じられないよ

綱手は予想の範疇を超えたナルトの話に動揺を隠せない。
カカシやサスケの持つ車輪眼ならば、可能かもしれない。
しかし奈良一族にはそんな目もなければ、秘術も伝わっていないはず。
何をどうやって理解しえたのだろうか。

「俺だって未だに信じられないけど目の前で見たんだ。」

そう呟くナルトの姿を見て、シカマルもナルトと同じなのではと綱手は思った。
ナルトも綱手と同等かそれ以上の力を持っており、現在暗部で働いていると聞く。
一人そんな存在がいれば、もう一人いてもおかしくない。
今感じた驚きは、ナルトの話を聞いた時の感覚と似ているような気がする。
実力を隠しているところとか、ナルトも暗部に属しているのだからありえない話ではない。

「それならあんたと同じように暗部に属しているとかじゃないのかい?」
「そんなわけない!はずだ。それにあいつはアカデミー時代も俺とドベ争いするくらいの成績だった。わざと手を抜いているのは気づいていたけど
「でも見て螺旋丸の構造を理解できるなんて、それ相当の実力を持っていなきゃ出来ないんじゃないかい?

綱手にそう諭され、ナルトは黙りこくる。
シカマルの知らなかった、気づけなかった一面を知って、ズーンと気分が重くなった。
確かに悪戯を一緒に計画した時とか、妙に鋭い意見を言うやつだな感じたことはあった。
自称いけてない系だと言っているが、影で人気があることも知っている。
いつからそんな実力を持っていたのだろうか、全くといっていいほど想像がつかない。

「それにしても、木の葉の忍びのレベルは落ちたのかと思ったけど、こんな餓鬼がいたなんてねぇ。木の葉も捨てたもんじゃないねぇ。」

しみじみと、綱手はこれからの木の葉のことを思い、そうつぶやいた。
確かに、そうなのだろう。
これがシカマルでなければ俺もその意見に何の異論もなく同意していただろう。
これは頼もしい味方が出来た、と。
シカマルでなかったら。

「今回の中忍試験で中忍に昇格したんだろ?やっぱり実力のある奴は頭角を現すんだねぇ。三代目も見る目があるじゃないか。」

「なんだい?元気がないねぇ。」
「うるせーつうの。用がないなら任務あるから行くぞ。」

背を向けて、ナルトは部屋から出ようとした。
どことなく暗い面持ちで。

「ちょ、ちょっと待ちなって!その任務のことで話したいことがあったから呼んだんだよ!」
綱手は去ろうとしたナルトを慌てて引き止めた。
「あんたが暗部としてどうするのかを今後どうするのかを聞いておきたくてね。」
「なんだ、そんなことかよ。今までと同じでいいよ。俺もまだ下忍のままだしね。」
「わかった。それとさっきの話の小僧は暗部になる気はないのねぇ?」

ナルトは少し考え、静かに呟いた。
「あいつはこんな血なまぐさい世界なんて似合わないよ。それにあいつに出世しようとか、そういう欲はないんだ。」
「それは残念だねぇ。そんなに才能があれば、すぐに実力なんてつくと思ったんだけど。」
「まぁ。表で温かく見守ってやってよ。」

綱手には背を向けているナルトの表情を読み取ることは出来なかった。
しかしナルトの雰囲気が和らいだことが感じ取れた。

「あぁ、わかったよ。」

ナルトにとってシカマルは特別な存在らしいということが綱手にも伝わってきた。
そしてナルトのいうように実力があるのならば、それ相応の仕事を与えてやらなければとならないと、綱手は火影として考えた。
裏でなく、表で

「じゃあ、任務に行ってくる。」
「あぁ。気をつけてな。」
 
綱手はふっと息を吐き、椅子にバタッと座り込む。
目の前のデスクに並べられている溜まった書類の束を見て、ウンザリしながら。
窓の方を眺めると、すでに日も落ち暗くなっている。
綱手は木の葉の将来を思いながら、火影として何が出来るかを考える。
考えて、まず最初にしなければならないのはナルトを表で活躍させてやることだと。
その時のことを考えると年甲斐もなく、胸の奥が暑くなる。
そのためにナルトの仲間をもっと増やさなくては、と考え先日治療した少年のことを思い出す。
大蛇丸と同じような目をしていたあのうちはの少年のことを。
 
 
 
 
後日サクラの思いも虚しく、イタチに再び会って燃え上がったサスケの憎しみは消えることはなく。
綱手の心配していたとおり、サスケは大蛇丸の手下に連れられ木の葉の里を抜けることとなった。

 

 

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2007/01/26 (Fri) お題 Trackback() Comment(0)
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