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ここは日記+駄文しかおいておりません。 現在はnaruto・銀魂を主としております。 原作には全く関係ありません。 若干女性向けの表現がありますのでどうぞ注意してお入りください。 最初に案内をお読みいただけると助かります。
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2025/06/23 (Mon)

 

 

そう、仕方が無いと思ったのだ。

 

そのときは。

しかし後から考えてみると学ばなければならないこと、これからしなければならないことが山積みで。

それを考えると、頭が痛くなるほどだ。

 

周りにこの事を教えてしまえば、これからの事がますます現実味を帯びてくる。

だから、周りにも親にさえこの事を教えなかったというのに。

それなのに…

 

 

 

「こ・い・つ・は~~!!」

「ほぇ?何だってばよ~!?」

振り回されて目が回ってきたナルトをシカマルは気にすることなく振り回し続けている。

「シカマル!その辺にしておきなさいって!」

少しナルトのことが可哀想になったサクラは、シカマルの手首をつかみ止めようとした。

「そ、そうよ。それに何で隠してたのよ?水臭いわね!」

サクラがナルトを開放させたところで、イノが意気消沈しているシカマルに詰め寄った。

「隠してたわけじゃねぇよ!ちょっと現実逃避してただけだっつーの。」

「あ、そう。まぁシカマルだしねぇ。」

「だな。」

うんうん、とうなずくイノとキバ。

「なんでだってば?これってすごい事なんだって、綱手のばあちゃんが言ってたってばよ?うらやましいってばよ!」

先を越された!と悔しそうに地団太を踏むナルトと一緒になって、キバも悔しがる。

そんなに悔しいなら代わってくれよ、と本気で思うシカマル。

なかなか上手くいかないものである。

 

 

 

 

はぁ、とため息をつくシカマルを見て、サクラはくすっと笑った。

「何笑ってるのよ?」

「え?シカマル大変そうだなぁと思って。」

「まぁね。面倒くさがりなのに、一番仕事してるって感じよね。」

「そうね。でもご意見番って事はエリートよね?」

「う~ん。そうなるわね。似合わないけど。」

「ってことはこれからシカマルの人気もっと上がるんじゃないかしら。」

「そ、そうかもしれないわね。」

ややどもったようなイノを見て、サクラは面白そうに笑った。

「な、何笑ってんのよ?」

「ちょっと面白くて、イノの反応が。」

「な゛!?何言ってんのよ!私は全然気にしてなんか無いよ。」

イノは焦ったように言い返した。まったく説得力は無かったが。

「はいはい。そういうことにしておいてあげるわ。」

「…その言い方むかつく。」

サクラに言いくるめられたような形になり、何か納得のいかないイノ。

「ただ、アカデミー時代からは想像できないなぁと思って。」

「まぁ、それはアカデミーの頃なら同感だったわ。下忍になってからは違うけど。」

「ふぅん。」

ニヤニヤと笑い出すサクラ。話題を変えようと、サクラ自身のことについて質問した。

「そ、そういえばあんたはどうなのよ?ナルト。あんまり待たせるのもかわいそうよ。」

「ナルトは…私にとっては弟のようなものだし。それに他に好きな人がいるんじゃないかとおもう。」

「え?そうなの?あんた一筋なのかと思ってたけど。」

意外なサクラの返事にイノは少し驚く。

「たまに切なそうな顔するのよね。遠くを見て…」

そのときのことを思い出したのか、幾分サクラは心配しそうにナルトの方を見つめた。

 

「どうしたってば?サクラちゃん。」

サクラの視線に気がついたのか、どうしたのかと問うナルト。

他のものもナルトの言葉を聞き、何が、とまた騒ぎ出す。

「な、なんでもないわよ!」

全然大丈夫と大げさに手を振りながら、サクラはごまかそうとした。

「ナルト。ああ言ってるんだから、大丈夫だろ?」

シカマルがそう言い、ナルトはしぶしぶ納得した。

「それよりおまえ聞いたこと何でもかんでも話しすぎだぞ?」

「ごめんってばよ~!でも皆でお祝いしたいと思って。」

しゅん、と落ち込んだように肩を落とした。

一連の二人のやり取りを見て、サクラは飼い主と犬みたいだと思った。

落ちこんでいたナルトをかばうように、サクラは間に入った。

「確かになるとも悪かったけどどうせ知られることになるのだからこの辺で許してあげなさいよ。」

ね、といわれ、シカマルはいい足りなそうな表情ではあったが納得する。

「ナルト、よかったわね。」

とサクラはナルトの方に振り向きながら、言った。

しかしナルトの表情はあまり芳しくないようだ。

 

サクラの後ろでは、シカマルに詳細を聞き出そうとまだ騒いでいた。

「なぁなぁ。それでどうすんだよ。」

「何かあったら俺のことよろしくな。」

「……」

 

「だぁぁ!!うるせぇ!俺のことは気にしねぇでいいから、さっきの続きするぞ!」

シカマルの怒声がその場に響き渡り、シーンと静けさを取り戻す。

シカマルは立ち上がり、任務の連絡を呆然としている皆に手早く済ませた。

わかったか、と確認されて。

コクリ、と皆は驚きつつも、勢いに押されてうなずいた。

シカマルは机の上に広げていた書類をかき集めてまとめた。

 

そして。

じゃあ、他の仕事あるから。

またな、と手を振ってその場からシカマルは退散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

出て行ったドアのほうを唖然と見つめ。

 

「あいつ、行動早すぎ。」

 

キバの声を皮切りに、プッと皆は笑い始めた。

 

 

あいつ絶対いろいろ聞かれるのが嫌だったんだぜ。

 

とか。

 

あんなに早く動くシカマルって初めて見たよ。

 

とか、話し合いながら。

 

 

 

 

この日を境にシカマルがご意見番に抜擢されたという噂は木の葉中に広まり衝撃を受けたという。

シカマルのもとに人がわんさかと集まり、面倒くさくなったシカマルが切れたとかなんだとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ、人生なんてどうなるのか、誰にもわからない。

 

それはとても実感のこもった言葉で。

 

あんた大変ね。

 

哀愁を感じさせるくらいに背中に影を背負っていて。

思わず労わりの言葉をかけてしまった。

しかしシカマルの胸中はよくわかっていたけれど。

 

きっと綱手様は胸を躍らせて喜んでいるだろうと。

 

綱手はあれでも私の大切なお師匠様だから。

弟子として近くで見てきた分、火影としての大変さを嫌というほどわかっていた。

シカマルがご意見番になることで綱手が少しでも楽になるのなら、シカマルには悪いけど嬉しいことだと思う。

自分ではまだ焼くには立てないということが、少しだけ悔しいけれど。

 

だから。

 

 

自分にできることがあったら、手伝ってあげよう。

 

 

本人に直接言わなかったけれど。

 

それは私のちょっとした恩返し、のつもりだっただけなのに。

 

それがちょっとしたことで終わらなかったのはいうまでもない。

 

 

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どうしても次数が多くなってしまったので、二つに分けました。
しかもかなり、中途半端なところで

なので、2のほうはかなり短いです。
2とつけていいのか、と悩むくらい。

こんなに次数制限のことで悩んだのは初めての経験でした。

なので2とありますが、実質2つで一つのようなお話です。
読みにくいとは思いますが、ご了承ください。

 




 



おっめでと~~てば!!」

部屋中に大きな声が響く。

「さっき綱手ばあちゃんに聞いたってばよ!おまえご意見番になるらしいなぁ。すげぇってば!」

バタン、とドアを開け、ナルトはドア脇にいたシカマルに嬉しそうに声をかけた。

その言葉を聞いて、みな驚きで、シーンと沈黙が続く。

シカマルは任務の打ち合わせの真っ最中だったのだ。

その任務の参加者はサクラ、いの、キバなど同期のものやシカマルと知り合いのものばかりだったのは、不幸中の幸いかもしれない。

しばらく沈黙が続いた後、えぇ!!?と驚きで騒ぎ出す。

シカマルはあの馬鹿、と頭を抱え、机に突っ伏した。

「あんた本当なの!?今の話!」

「すげーじゃねぇか!何で隠してたんだよ!?」

シカマルの周りにはすごいすごい、と我先に、と人が集まってくる。

いすに座ったまま、いまだシカマルは突っ伏したままだ。

「シカマル~?どうしたんだってばよ?」

「うっるせぇ!なんでおまえはそーゆー事を軽々しく口にすんだよ?」

シカマルの様子を伺いに近づいてきたナルトの方をガッとつかみ、ぶんぶんと揺らした。

半ばやけだ。

くそーとナルトに八つ当たりをするようになるとの体を揺らすシカマルを見て、一同は同じような事を予想した。

 

やっぱり、面倒くさくてなりたくないんだろうな…と。

 

ぶんぶんと揺れるナルトの頭を見ながら、シカマルは綱手にご意見番を頼まれた時のことを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

1.居眠り

「くわぁ。」
思わず欠伸が出てしまった。
とても大きく口を開いて。
欠伸なんて1週間徹夜してもしたことがなかったのに。
とても、眠くてまぶたが落ちそう。


よく欠伸って人に移るって言うけれど。
それって本当だったのか、と初めて思った。

 

 


いつもいつも眠そうで。
授業中どころか、休み時間でさえ寝ていた。
その姿を見て、学校に何をしに来ているのか、と。
少し馬鹿にさえしていた。
すでに暗部で活躍している俺様が何でアカデミーで餓鬼と混ざって授業を受けなければならないのか。
そして火影の命令のもと、名家・旧家の子供の護衛のために2度も留年したのだ。
ストレスを感じない方がおかしい。
それに…

「何でおまえはそんなに出来が悪いんだ。」
俺が優秀だったら、困るのはあんたらの癖に。
「他の生徒の邪魔をするな!」
頼まれたってしねーよ。親や周りの大人に流されて、俺を疎む奴らなんか。


あぁ嫌だ。
いつもいつもそう思ってた。
アカデミーでバカ騒ぎをしたり、ドベを演じていた間もずっと。

 

自分で考えたキャラながら、いつも面倒くさくてたまらない。
いつも演じながら、こんなにまっすぐで人を疑わない奴なんていないといつも思う。
目立ちたがりなら前の席かな、と前に座っていたのだが。
今日はどうしても前に座ってバカ騒ぎをする気分に慣れなくて。
後ろに座ろうと、窓際から少し離れた一番後ろの席に座った。
机にうつぶせて、空をボート見ていると、突然視界がさえぎられた。
何だろう、そう思ってジーと見つめていると、ふいにこちらに振り向いて。
「何見てんだよ。」
不機嫌そうにそう言われ、またか、とそう思う。
その男はどかっとナルトの横の窓際の席に座り込んだ。
え?横に座るの?
「何だよ?ここは俺の特等席だからな。ゆずらねーぞ」
そんなこと聞いてないんですけど。
「いつもシカマルってその席に座ってるよね。」
シカマルの前の席へと、座った男がそう返した。
「ったくうるせーよ。チョウジ。」
この二人は確か、俺の護衛対象にもなっている奈良シカマルと秋道チョウジ。
そういえばいつもこの辺に座っていたかも。
じゃなくて、普通に俺に話しかけてくるから。
毒気を抜かれるというか、なんというか。
「初めて話すよね。僕チョウジっていうんだ!」
「お、おう。俺はうずまきナルトだってばよ。」
悪意があればそれはなんとなくわかるものだ。
しかしこの二人はとても自然体というか、そういう類のものを感じることが出来ない。
「いっつも前で騒いでるよね。今日はどうして後ろに座ってるの?」
「え~と…ちょっと眠くて。」
「そうなんだ。シカマルも授業中でも寝てるんだよ。」
「それ俺も知ってるってばよ!よく先生に注意されてるの見て。」
「あははは。」
「うるせぇっつーの。眠いんだから仕方ねーだろうが。」
仕方ない、と当然のことのように言い放つシカマル。
違うだろそれ、と突っ込みをいれ、二人は顔を見合わせて笑いあう。
こんなふうに普通にクラスメートと話せたのは初めてで。
明日になればどうなっているのかわからないけれど、少し嬉しかったのは事実。
「今日の宿題してきた?僕わからないところがあったんだよね。」
「え?そんなのあったってば?!俺忘れてたってばよ。」
当然のことながら、やってきていない。
そういう設定だから仕方がないのだが、簡単に解ける問題なだけに教えることが出来ないのが悔やまれる。
「俺もやってきてねーぜ。ってか、宿題って何すんだっけ?」
慌てもせず、宿題をやらないことをすでに前提にしているような言い方だ。
ある意味、潔いよいのかもしれないとシカマルという人間について見直し始めたナルトだった。
もちろん宿題はやってきた方がよいに決まっているのだが。
「仕方ないなぁ。昨日習ったことの応用問題のプリントもらったでしょ?」
「「いれたまんまだった(てば)」」
はもった二人は顔を突き合わして、苦笑いを浮かべた。
クラスメートと普通に接しているのが、なんだかくすぐったい。
ごそごそとプリントをバックの中から出して。
じっとそのプリントを見つめる。
「難しいってば。」
「簡単じゃねーか。」
先ほどとは違い、はもらなかった二人はもう一度目を合わせる。
二人とも表面上はドベ1.2を競うほどの落ちこぼれ。
ナルトが疑問を感じるのも無理はない。
「よかった!ナルトもシカマルに教えてもらいなよ。僕ここがわからないんだけど。」
しかし戸惑うナルトにチョウジは気にせず。
ここ、とわからない箇所をシカマルに見せて。
チョウジが示したその部分は…このプリントの中でいえば、難易度の高い問題で。
チョウジがわからないとシカマルにもらしたのも仕方がない。
しかしこのプリントを落ちこぼれが簡単、というには少し無理がある。
しかし「あぁここはこうして…それがひっかけなんだよ。」
と、ドベのナルトでも理解できそうなレベルでシカマルは回答を教えてくれた。
成績が悪くいつも寝ていて駄目なやつと思っていたのに。
認識が覆されて、ナルトは驚きで頭がいっぱいになる。
かろうじて、ドベの仮面をはすさないように踏みとどまったのはせめてものプライド。
「ここで間違えてたんだ!シカマルありがとう。」
「いいって。それより、ナルトは何か聞きたいことねーの?」
「え?お、俺にも教えてくれるの?」
「わからないところがないならいいけど。チョウジの写させてもらってもいいし。」
な、とチョウジの方へ相槌を促した。
シカマル自分で解けるでしょ!と言って、チョウジは写させようとはしなかったけど。
「あ、ありがとう。」
嬉しくて笑いたいのを抑えていると、ほほの部分が引きつって痛い。
こんなふうに普通の同級生として接してもらったのは初めてのことだから。
自然と、お礼の言葉が出た。


「じゃあ俺寝るからな。」
瞬時に寝る体制に入ったかと思うと、寝息が聞こえてきた。

「…すごいってばね。」
「だね。シカマルってどこでも寝れるんだよ。寝てるときのシカマルって本当に幸せそうだよね。シカマルが欠伸するの見てたら、僕も眠くなってくるんだよね。」
俺が言いたかったのってそこじゃないんだけど。
確かに…。
「あ、それわかるってば。シカマルが欠伸してるの見たとき、俺も欠伸が移っちゃったってば!」
「それわかるよ!なんだか、眠くなってきちゃった。」
「俺もだってば。」
「じゃあ居眠りでもする?」
「おう。」
「じゃあおやすみ。」
「…おやすみだってば。」

 

 

その後、授業中もずっと居眠りをしていた窓際三人組にイルカの雷が落ちたということは言うまでもない。

 

2007/02/27 (Tue) お題 Trackback() Comment(0)

「コレ、いい酒だろ?」

「おやじにしては…珍しく、な。」







眠気眼のその奥に。




酒を口に入れ、うまい、とつぶやいた。

空には明るく輝く月が。
暗く、星の見えない空を照らしていた。

ここは木の葉でも旧家といわれる奈良家。
周りには奈良家の所有する山が広がっており、山と空の闇との境界が曖昧で。
どこからが森なのかなのか、判別することが出来ない。
空を見ることのできるベランダには二人の男が酒を飲みながら座っていた。
一人は髪を後ろで縛っていて、目つきがひどく悪い。目の上の傷が目つきの悪さを際立たせていた。
もう一人は同じように目つきが悪く髪を後ろで縛っていた、血縁者ではないかと思うくらいよく似ている。しかし少年といえる年齢ではないだろうか、それにしては酒を飲む姿が様になっている。眠そうに目をこすってはいたが。
前者はシカク、奈良家の現当主で前線からは引退している。若い頃は血の気が多く、けんかが絶えなかったらしい。
後者はシカマル、その容姿からも想像できるようにシカクの息子である。現在は下忍として任務につき、犬の捜索や、農作業など、忍びらしくない任務をこなす毎日を送っている。

「おい、何で起きてなきゃいけねーんだよ。いい子はとっくの昔に寝てる時間じゃねーか。」
入り口にかかっている時計を見ると、すでに2時を示している。
「駄目に決まってんじゃねーか。それに徹夜で本を読んでるの知ってるんだぜ?」
かあちゃんにばらしてやろうか、とうそぶくシカクを睨みながら、シカマルは酒に口をつけた。
確かに徹夜する事だってある。
それがばれるとまだ子どもでしょ、と母親に起こられる可能性は高い。
しかし今日はかなり眠気がひどくて。
シカクを無視してここで寝てしまおうか、と思わないでもない。

「後もう少しで、来ると思うんだけどよ。」
「?俺には関係ねーだろうが。」
いいからいいから、とシカクはシカマルの持つ杯に酒を注ぐ。
何かをたくらんでいるように笑うシカクをみて、シカマルは眠気も相まって腹立たちさを感じる。
こういう笑みを浮かべている時はきまって俺にとってめんどくさいことが多い。
嫌な予感が、頭から離れなかった。

「もうすぐだからよ。待っとけって。」
しぶしぶ、といった感じでシカマルは了承する。
どうせ勝てないのだからと。
シカクよりも実力を持っていれば、殴り飛ばして布団に入るところなのだが。
眠気で重くなった体を立ち上がらせて、部屋の方から本をとってくる。
どれだけ時間がかかるのかわからないのだ。
それほどの時間を何もせずには過ごせる自信はなかったから。

 


酒を注ぐ音と。

   本をめくる音だけが。


響くようになってから、しばらくして。
シカクがバッと顔を上げ、待ち構えたように立ち上がった。

「やっと来たか。」

嬉しそうに、森の中を見つめる。
暗くて何も見えない方向を。

「…何が、来たんだよ。」

シカマルは本のほうに頭をうつむかせたまま、シカクに問う。
眠くて仕方がないのか、身動き一つせず。
意識が遠のいていく瞬間「いてっ!!?」
後頭部を何かで殴打された。
誰がなんて、みなくてもわかる。
「何すんだ!」
涙が出るほど痛い。
母に今日のことを告げ口することを誓いながら、シカマルは振り向いた。

「…誰だ?」

目の前にいたのは全身真っ黒な忍び装束を身に纏い、狐の面で顔を隠しどっから見ても暗部で。
シカクの仕業だと思っていたシカマルには何がなんだかわからない。
しかし狐の仮面には思い当たることがあった。
それは木の葉のトップシークレット。

「って~~!」

その忍びは俺と同じように頭を抑えて、痛みを訴えていた。
よほど痛いようだ。
まぁ声を出さないだけで、俺の後頭部もかなり痛いけど。

「やっと来たか!」

今まで散々待たせていた息子を無視して、シカクはその忍びに駆け寄った。

「珍しいな。お前がそんなドジを踏むなんて。」
「あぁ、ちょっとつけられてな。巻くのが大変だったんだ。それより…何であいつも一緒なんだよ!」

所在なさげに忍びはシカマルのほうをちらりと見て、シカクに講義する。

「いや、あいつがどうしてもってうるさくてな。」
「そんなわけねーだろうが!俺のこ…「見っつけた~!!こんなところにいたんだ!見失っちゃって心配したんだよ!」

「「はぁ?」」


いきなり出現した男によって、馬鹿馬鹿しさからか、3人は体から力が抜けるような気がした。。

「…畑か?」
しかし気配を消して現れた男に若干の驚気を感じていたシカクは、頭に浮かんだ名前を思わず漏らした。
現役を退いてから幾年もたつ。
その頃からとても強くアカデミーを飛び級して卒業した、というこの男の噂を聞くことが多かった。
そのとき聞いた噂はこんな男ではなかったはずなのだが。

「てめぇはついてくんなって言ってんだろうが。」
「え~!だって心配なんだもん。」

目の前にいるのは乙女ぶったしぐさで、駄々をこねる子どものような大人だけだ。
見ているだけでも、少々気分が悪くなる。
同じ気持ちだったのだろうか、ひっついてくるかかしをべりッと離しながらほほに一撃を放つ。
グハッという声と共に、ひっくり返ったカカシを見るだけでもその威力の想像がつく。


一部始終を見ていたシカマルは、この場にいる自分がとてもアンバランスで。
眠気を我慢してまでここにいる必要性を感じられない。
しかも突然飛び込んできたカカシにはあきれを通り越して、うざいくらいだったから。

「あのぅ。俺もう寝てもいいっすか?」


「駄目に決まってんだろうが!お前に会わす為にわざわざ呼んだんだから。」
「はぁ?やっぱ、さっきのうそじゃねーかよ!」

シカクはせめよられ、いや、と言葉につまる。
確かに事の発端はすべて自分にある。
シカマルがこの男のことを知るはずもない。
この男もシカマルに会うことすら罪と感じているのではないだろうか。
少しでも息子に接点を持たせようと、この場を設けたのだが。
この男のせいで…と多少恨みごとを思いつつ、睨みつけるが。

「どういう関係なの?俺がいるでしょ?!」

と俺を無視して、カカシは何で?と迫り来る勢いで問いただし始めた。



あいつも面倒くさい奴に好かれちまったなぁ。
どうしようかと、首筋をぽりぽりとかく。
背筋に怒りの視線を感じつつ。

「わりぃな。もうしばらく待ってくれよ。」

な、と振り向くと、シカマルは眠そうに、額にしわを寄せて睨みつけてくる。
さきほど後頭部を打ち付け、眠気が引いたかに見えたが。
再び眠気に襲われたようで、我慢できないようだ。

「あほらし。あれがすぐに終わるのかよ。」

くぃ、とあごをカカシの方に向けて、シカクを静かに批判する。
どう見てもあの言い合いは終わらない、と。

「だがこの機会を逃すとなぁ。あいつだって警戒してもう来ないかもしれないし。」

シカマルの言い分もわかるが、せっかく二人の接点を作ることが出来たのだ。
もう少しねばりたい。
「話なら後でいくらでも出来るだろ?俺は眠いからさっさと寝るからな。」
そう言いながら、シカマルは部屋の方へ入ろうとした。
そのシカマルの腕をシカクは驚きながらもつかむ。
「ま、待て。後でって、お前あいつのことしらねぇだろ?」
しまった、という表情を顔に浮かべて、シカマルは面倒くさそうにシカクの手を振りほどく。
「あ、あぁ。しらねぇに決まってるだろ。親父がまたつれてくるかと思ったからだよ。」
「…俺たちの話し聞いてたらわかるだろうよ。次はねー。」
「…わかったっつの!…俺はねみぃんだよ。…あいつナルトだろ?だったらいつでも話せるじゃねーか。」


「ぬぁにぃぃ~~~!??」


大声叫んだかと思うと、ばたっとシカクは後ろに倒れるようにしりもちをついた。
お、おま…とシカマルを指差す手を震えさせながら、驚きで声がでないようだ。
「どうしたんだ?」
いきなり大声を出したシカクに驚き、カカシを放り投げてシカクの方に駆け寄った。
シカマルのほうを指差して、本当に驚いたように座り込んでいる。
こんなに驚いているシカクを見たのは初めてで、興味津々といった感じでシカクを覗き込んだ。

「い、いや…こいつが…」
「こいつが?」
「お前のことを」
「俺のこと?」
「ナルトだって。」
「……」

「「えぇぇ!!??」」

 

んなわけねーだろ!??とシカクの胸倉をつかみ、思わずせめよった。
シカマルの方へ詰め寄らないのは、自分のことを知っているのだという事実を認めたくなかったから。

そう、この漆黒の忍び装束をまとう男の正体はうずまきナルトだった。
幼少より暗部として任務に就き、今では押しもおされぬ暗部総隊長殿である。
シカクもつい先日までこの事実を知らなかった。
火影に正体をばらすよう言われて、しぶしぶといった様子ではあったが俺に教えてくれたのだ。
無知は罪であると、よく言ったものだ。
里がナルトに憎しみを与え続けてきたことの事実。
そして考えればわかることなのにそれを放置してきた俺たち大人の罪を。
その日は眠れなくなるぐらい、胸の中は後悔の渦に飲み込まれていた。
その日からだ。ナルトを息子と会わせたいと思ったのは。
偽りの姿ではなく、本当のナルトを。

なのに。
本人がそれを知っているといるのはどういうことなんだ?!

「うるせぇな。寝かせてくれよ。眠ーんだから。」

飄々としたシカマルを見て、本当に知っているのかという疑念の消えないカカシ。
本人から知っていると聞いたわけではないのだ。

「ねぇ。それって勘違いじゃないの?この子驚いているようでもないし。」
「でもシカクが…」
「あ、あぁ。確かに今こいつはそういったぞ。」

カカシに言われ、もしかしてと思いシカクの方へと確認の意をこめて聞き直したが。
返ってきたのは、期待はずれの返答。
シカクがそんな嘘をつくわけがない。
一緒になって驚いていたし。
疑問を感じながらシカマルに視線を向けると。




「目つぶってるし!」






眠気が最高潮まで達したのか、シカマルは立ったまま寝ていた。
さすがのカカシも呆れて言葉が出ない。

「寝てんじゃねーっつの!」

なれた仕草で、シカマルの頭に拳を振り下ろした。
いつもの事のなのだろうか。殴ったシカマルを気にすることなく、シカクはふんぞり返ってる。
そこにはいてぇと頭を抑えてのた打ち回るシカマルの姿があった。
確かに勢いに乗ったシカクの拳は痛そうだ。少し可哀想にさえなるくらい。

「何すんだよ!いきなり!」

シカマルの怒りは当然のものだろう。
いきなりといっていいくらい、突然殴られたのだから。

「うるせぇ!それよりなんでナルトのこと知ってんだよ!」
「あぁ?それぐらい知ってて当たり前だろうが!」

何当たり前の子と聞いているんだ、と言わんばかりのシカマルに3人は戸惑い気味。
ナルトは隠し通せていると思っていたし。
シカクはつい先日知ったばかり。
そしてカカシは毎日へばりつき、やっとの思いで正体を教えてもらったのだ。
どこが当たり前なんだよ!とつっこみたい気持ちが高まるが。
そこは大人としての意地、また暗部としての意地もあって声に出せない3人だった。

「まぁ、同期の連中はしらねぇだろうけど。」
「っていうか、俺の正体を知っているってことは…」
「あぁ、暗部の総隊長で弧葉だってことも知ってるぜ。」

ふぁぁ、と欠伸をしながら、シカマルは何をいまさら、と応えた。
平然と応えるシカマルにシカクとカカシは驚くばかり。
当人のナルトでさえ、正体を知っていたというシカマルに恐怖さえ感じていたのだから。
いつから知っていたのか。
それを知って俺のことをどう思ったのか。
何で、何もいわなかったのか。
様々な疑問が渦巻いて。

「…な、何でそんなこと知ってるんだよ。」

聞きたくないけど、聞かずにはいられなくて。

「あ~、それは教えられねー。」
「はぁ!?俺の正体だけ知っておいて、それはないだろうが!」

肩をつかんでガクガクとシカマルの頭を揺らした。
あんなに揺らされたら応えられないでしょ。と思いながらも。
さすがにカカシには突っ込む勇気はなかった。
それでも面白くない、とカカシは思う。
任務で一緒になったときに、弧葉に一目ぼれしてから。
自分が散々追い回して、しつこいぐらい聞きまくってやっと得た真実。
それなのに。
ナルトのことを当然のように知っていて。
今もナルトから熱い?視線を向けられて。
最初は驚きだけだったけど、今は嫉妬の方が大きくなっている。
シカマルがなぜ知っていたのかを知りたいから、今はあえて邪魔をしないけど。
後で覚えていろよ、そう心の中で誓った。

「ったく、まぁいいか。機密って訳じゃねーしな。俺もたまにだけど暗号解析部のほうに手伝いに行くんだよ。」
「はぁ?!何で下忍のお前が手伝いに行くんだよ。」
「俺だって行きたくねーけど。図書館で知り合った解部の奴にどうしても手を貸してほしいっていわれて。本当に困っているときは…な。」

あれだけ頼まれたら行かねー訳にはいかないよな、と多少あきらめ気味のシカマル。
それほど切羽詰っているのだろうか。
きっかけは暗号解読の資料を探している奴を見つけて、何度かその場所を教えてやったこと。
それからわからない部分を質問されるようになって。
段々と解部ぐるみで質問をしに来るようになった。
今では名前こそ正式においていないが、れっきとした解部の一員として数えられている。<シカマルは納得していない。>
シカマルの存在が表立っていないのは、知られて他の部署と取り合いになるのを防ぐためである。
最近の解部の仕事の速さに疑問を抱いている、勘の鋭いものは何人かいるが。

「ナルトが実力を隠しているのはアカデミーの頃から知っていたし、弧葉のこれまでの経歴と俺の知識とを照らし合わせたら…自然とわかったんだ。」
「自然とわかる…わけねーだろうが!」

そこでシカクがビシッとシカマルに突っ込む。
シカマルが解部に言っていたのは知らなかったが、それは気にしていないらしい。
息子が気がついていたのに、自分が気づけなかったということに少しだけ不甲斐無さを感じていたようだ。
もちろんそれを顔に出すようなへまはしなかったが。
「で、でも俺のこと知っていたなら、なんで…聞かなかったの?」
完全に隠せていたという自信を打ち砕かれた。
しかしそれはもういい、とナルトは思う。
問題はなぜナルトに対し、何も言わなかったのか、ということ。

「あー、別に詮索する気もなかったし。隠したいことを無理に暴き立てることもねーかなぁと思って。時期が来ればわかることだろうし。」
「そ、そっかぁ。」

ほのかにだが、照れているような笑みを浮かべるナルト。
自分を知っても、何をするでもなく受け入れてくれていたシカマルのことが嬉しかったのだ。
その様子を見て面白くないのはカカシ。
確かに教えてもらうまで気がつかなかったのだけど。
知ってから、ずっと傍にいたのは自分だと思っていたのだ。
こんなふうに自分以外の誰かに無条件に心を開くナルトは見たくなかった。

「でも暗部のことは抜きにしても実際お前がドベを装っていることに気がついているやつって結構いると思うぜ。アカデミーのときに悪戯仲間だったチョウジとキバは何かしら気づいているだろうし、イノもあれで鋭いからな。何かおかしいと感じているような気がするし。」
「そ、そうなんだ。」

先ほどまでの嬉しさとは別に俺って全然気がつかなかった、と冷や汗を流した。
自分の知らなかった、全く新しい事実に。
確かに留年三年目ですでに落ちこぼれと認識されていたから、悪戯とか結構好きにやっていたし。
特に最近は、普通に付き合ってくれる奴が多かったから、気を抜き過ぎていたのかもしれない。
何も言わないから、全く気がつかなかったけど。

「暗部のことまで言えとはいわないけど、素を教えてやったら喜ぶと思うぜ。」
「う、うん。ありがと。」

今まであまり人を頼りにすることなんて出来ないと思っていたけれど。
自分がそう思い込んでいただけで、実は周りに結構いるのかも。

「考えてみる。」

それまでは正体をばらそうなんて考えたこともなかったけど、いいかもしれないと思うことが出来た。
シカマルに言われ、素直に返すナルトを見て。
嫉妬心を大きくしていたカカシを背に、シカクはやっぱり合わせてよかったと思った。
考えていた計画とは180度違うものだけど。
嬉しそうなナルトを見て、俺の息子は意外にすごい奴かもと思った。
多少癪に障る気もするが。



和やかに話していたシカマルとナルトの間にカカシが乱入して。
うざい、と殴られカカシは地に伏す。
すぐに復活するのだけど。
それを何度となく繰り返し、カカシはナルトの注意を自分の方へと向かせるのに必死だ。
何度となく繰り返されるその動きに、シカマルは段々と眠気がぶり返してきた。

「じゃぁ俺そろそろ寝るわ。明日も早いし。」

すくっと立ち上がり、手を振りながら部屋の方へと急ぐ。
眠くてたまらないのだろう。足取りがふらついて、危なく見える。
その後姿を、少し残念そうにナルトは見つめつつ。

「う、うん。またね。」

ばいばい、と手を振って見送った。
やっとお邪魔虫が消えたとカカシは喜ぶが、ナルトの視線は未だ部屋を見つめたまま。
シカマルの姿が暗い部屋の中へと消え、ナルトはふぅとため息をついた。
いきなり知らされたその事実に驚き、動揺するだけだったけど。
嬉しかったのは本当だから。
今日招いてくれたシカクに感謝した。

「ありがと。今日は呼んでくれて。」
「あぁ。俺もこんなことになるとは思わなかったけど。よかったな。」
「おぅ。」

照れているのだろう、目を合わせることはなく。
近寄ってくるカカシをナルトはぶっ飛ばしながら。
見たこともないほど晴れやかな表情を浮かべていた。

「じゃあ俺帰るから。」
「あぁ。また来いよ。」
「…ありがと。また来る。」
「おぅ。」


タトン、とベランダの手すりを足でけり上げ、森の中へと飛び降りた。
あっという間にその姿は見えなくなり、静寂が戻る。


「お前は帰らねーのか?」
「もう帰りますよ。それより…お宅のお子さん、ちゃんと管理しといてくださいよね。」

ナルトのいた時と打って変わってギスギスとした雰囲気。
年上であろうシカクに、いつもへらへらと笑うカカシにはありえないほど真剣な顔で。
失礼な奴だと思いながらも、その心がわからないわけではなく。

「じゃあ失礼しました。」

お辞儀をした後、カカシはナルトの消えた方向へと降り立った。
その後姿を見ながら。
息子が面倒な奴に目を付けられたな、と思いながら。
そしてこれから面白くなりそうな予感をびしびしと感じた。
一人きりになったベランダで。
先ほどまで飲んでいた酒を片手に。

月を見ながら。

いい夜だった、今日はよく眠れそうだな、と。
そう思いながら、酒をグイ、と飲みほした。

いつものごとく、これだけでは終わりません。
短編にまとめたいのに、まとまらなかった

この話は銀時の調査で山崎とあやめが会うシーンを見て、同じ忍びなんだから、話も合うのでは!?と思い、書いてみました。
あやめっていつもハイなテンションだけど、ちょっとかわいそうですよね。銀さんには相手にされていないし。

ということで、あやめが銀時に告白しに行くのに、山崎が巻き込まれる…というような話です。
最後まで書けるのかな、と疑問の浮かびそうになる文章力ですが、がんばって生きたいと思います。
で、いつものごとく土山になると思います。

タイトル、迷いに迷って、変で長くなりました














時として優柔不断とはとても辛いものである。





「銀さん!待ってってばぁ~!」

 

それはいつものように副長の用事を頼まれて、歌舞伎町を歩いていた日のことだった。
ふわふわと雲が気持ちよさそうに流れていたので、今日はいいことありそうだ、とそんな予感がしていた。
副長にマヨネーズを買ってこい、とスーパーに行く途中だったのだが、急ぐ気分でなく。
ゆっくりと散歩のように歩いていた。
このことを土方が知ったら、烈火の如く怒るだろうなと思いながら…


その時背後でドカァァと激しい音と共に、横を瞬時に何者かが走り去った気配を感じた。
あっという間の出来事だったが、走り去ったものは確かに銀時だった。
辺りを見回してもそれらしい姿は見えなかったが、監察である山崎だからこそ一瞬でその気配を察知することが出来たのだ。
しかしその瞬間に山崎がかすかに捉えることができたのは恐怖におびえる銀時の瞳だけだった。
あの銀時がおびえるなんて…何だろう、と後ろを振り向くと…女の人が大の字に寝そべっていた。
転んだのだろうか…しかしあの音はそんな小さな音ではなかったのだが…
山崎は疑問に思いながらも、大の字で動かないので心配になり、傍に駆け寄って話しかけた。
この時の親切心を山崎はこの後、後悔することになった。

 


「わかる~?銀さんったら恥ずかしがりやさんだから私のこと避けてるんだけど…本当は戸惑ってるのよ。初めて本気で人を愛してしまったから…」
「はい、そうですね。」
「そうなのよ~!でも繊細で優しい銀さんはそれを認めるのが怖いの…だから私を避けて逃げているの」
うっとりと遠くを見つめながら延々と話しつづけているのはさっちゃんこと、猿飛あやめ。
俺が声をかけてから、2時間ずっと話しっぱなしだ。
いくら俺でも、ずっと旦那とののろけを聞かされるときつい。
もとお庭番で、ある事件をきっかけに銀時と深い仲になってしまったらしい。(どこまでが本当のことかわからないが。)
初めて会ったのは、副長に銀時の調査を依頼された時だ。
第一印象も少し、いやかなり変わった人だった。何しろうちの局長とストーカー談義できるくらいなのだから。

猿飛さんの話から推測するに…旦那は付き合うのが面倒くさくて逃げた…ということだろう。
あのおびえた顔はこの女性に惚れている…とはとても思えない。
いったい何をしたのだろうか。
人の話を聞かないことといい、ストーカー度合いといい、何で俺の周りにいる人たちはこういう変わった人が多いのだろうか。
新八の家で遭遇した時といい、局長と話が合いそうだ。
しかし紹介して、変人仲間になられるのも困る。一応新撰組の頭だし…
「そういえばさっき旦那が走っていたんですけど、何でなんですか?」
「あら?よく聞いてくれたわね!私がホテルに入りましょうっていったら恥ずかしがっちゃって…まぁその他にもいろいろ話してたんだけど。」
「…いろいろってなんですか?」
「そんなこと銀さんにしか話せるわけないじゃない!も~えっちねぇ。」
なるほど、痛い女に迫られて、あげくに逃げた…ということか。
そこに声をかけた俺が巻き込まれた、と。
なんて運が悪いんだ。
さっきまであんなに気分がよかったのに。
これもすべて逃げた旦那のせいだ!
と銀時に頭の中で文句を言いながら、あやめの話に適当に相槌を打っていると
「あなたもそう思うでしょ?」
「は、はい。」
有無を言わさない雰囲気に圧され、思わずうなずいてしまう。
「よね!じゃあ私と銀さんをくっつけるお手伝いをして頂戴?」
「はいはい、ってえぇ!!?」
「じゃあおねがいよぉ!」
「そ、そんな…困りますよ~!」
本当に困る!俺だっていろいろと仕事があるのだから。
今日だって久々の非番でのんびり散歩をしているところだったのに、あっという間二時間が過ぎてしまった。「助かったわ!じゃあこれから私と銀さんをラブラブにする打ち合わせをしにうちにいらっしゃい!」
「いや、あの…俺ちょっと用が…」
「ここからすぐだから!じゃあ行きましょう!」
「だから……」
いや、あの、とあやめの提案を断ろうとする山崎の首根っこをあやめにつかまれて山崎はずるずると引きづられていった。
あやめは初めて家に人を連れて行くので、ルンルン気分だった。
ただでさえ思い込みが激しいのに浮かれたあやめの耳には、山崎の言葉は届かなかった。
というか、初めから人の話を聞くような性格ではなかったのだが…

 

 

連れて来られたマンションは最初にあやめが倒れていた場所から近かった。
というか、万事屋から5分くらいの場所で。
こんなに近いなら、さぞかし旦那に会いにいけるだろうってくらい。
まるで、うちの局長のようだ…
それにしても…歌舞伎町にしては珍しく高級そうなマンションだった。
やはり女の子だからだろうか、オートロックでセキュリティも厳しそうだ
「私の部屋は10階だから、ちゃんと着いてきてね。」
「…はーい。」
エレベーターに二人で乗り込み、あやめが10のボタンを押した。
キーン、とエレベーターが止まり、ドアが開く。
「うわぁ。」
あやめに連れて来られた部屋は一人暮らしには広すぎるほど、広かった。
女の子らしい部屋ではなく、生活感のない、淋しい部屋。
部屋の中央には大きなソファーとテーブルが置かれていた。
何もかも綺麗に整頓されているが、物があまりにもなさ過ぎる。
…俺の部屋みたいだ。
「そこのソファに座って頂戴?ちょっとお茶を入れてくるから。」
と言い、キッチンの方へ姿を消した。
言われたままにソファに座り、山崎は部屋をきょろきょろと見回していた。
山崎にはプライベートで女性の部屋に来た経験があまりなかった。
新撰組に真の髄まで身を置いた監察の山崎には女性と親しくなることはできなくて。
山崎の持つ情報は新撰組にとって命取りとなるものばかりだから、知らぬものに気を許すことは出来ない。
それは始末屋をしているあやめにもいえることで、少し似ているかもしれない、と少し思ってしまう。
でもストーカーをしていたあやめの姿を思い出し、似ているのはやっぱやだ、と浮かんだ考えを思わず拒否してしまった。
「はい。」
「あ、ありがとうございます。」
テーブルに出されたのはかわいらしいカップのティセットとおいしそうなクッキー。
心遣いが女の子らしくて、それが少し嬉しい。
「じゃあ、いただきまーす。」
ハーブのいいにおいが口の中に広がって、体の疲れがとれるような気がした。。
おいし~、とつい言ってしまい、あやめにくすりと笑われる。
「もう何ですか~?笑うなんてひどいですよ」
「ごめんなさいね。あんまりおいしそうに食べてたから…つい、ね。」
くすくすと笑いながら、あやめもおいしそうに紅茶を飲む。
「で、さっきの話なんだけど…どうすればいいかしら?」
「そ、そーですね。やっぱりきちんと気持ちを伝えると言うことが大切だと思うんですけど」
「私もそれは大切だと思うんだけど…大切な時に銀さんったらどっかいっちゃうのよね~」
たぶん、そういう話を聞きたくないからでは…とは言えない弱気な山崎だった。。
「そういえば、二人はどこで知り合われたんですか?」
いたって普通の質問だが、予想通り普通の答えが帰ってくることはなく。
「私が屋根から落ちて銀さんに会ったのが運命の出会いだったわ。その後同棲…のような生活を送ったわ。あの時はとても幸せだったんだけど。」
あやめは出会いから始まり、一緒に戦いにいったことなどを多少妄想と希望が入り混じりながら話し続けた。
「で、私は銀さんのことを好きになったのよ。」
「…はぁ、そうなんですか。」
話が終わったのは、それから1時間後。
話を聞きながら、山崎は思った。
俺がマヨを買って帰れないのはあやめさんのせいであって俺のせいではないということ。
(俺は非番で副長の命令を聞かなくてもいいはずなのだけど。)
そしてこれでは俺はしばらく帰れそうにないということ。
そして…何を副長に言い訳しても絶対怒られるであろうということだった。

「私としては…既成事実でも作った方が早いんじゃないかしらと思ってるんだけど、どうかしら?銀さんの周りにはライバルがたくさんいるのよね。こういうことは早く行動しなきゃいけないわよね?。」
「…とりあえずその同棲生活の時には何もなかったんですか?」
「それなのよ!私としたことがあの時は本気じゃなかったから。あの時なら銀さん結婚してくれるって言ったのに私ってバカよね。」
ほんとうにばか、と肩を落とし、山崎に同意を求める。
山崎は山崎で旦那がそんなことを言うなんて信じられない、と少し失礼なことを考えていた。
「でも一度そういう気になったんなら、簡単かもしれませんよ?」
「そうよね!あなたいいこと言うじゃない!」
あやめは上機嫌で山崎のカップにお茶を注いた。
「はは、まぁ。」
「そういえば、あなた。以前どこかでお会いしなかったかしら。」
「え?そうですか?俺は覚えていませんが…(ってか、こんな濃い人会ってたら絶対忘れないだろ!)どこかですれ違ったのかも知れませんね。」
首をひねりながら、未だ考え中のあやめ。何かが頭の中で引っかかって思い出せないらしい。
「まぁいいわ。それで明日また、銀さんに会いに行こうと思ってるんだけど。一緒に来てくれないかしら。」
それって、女友達が告白についていくみたいな感じでは…。
俺の存在っていったい…とも考えないではないが、女の子に頭を下げられるとどうしても断りきれない。
それが山崎の優しさなのか優柔不断なのかはわからないが、この性格のおかげで様々な困難に巻き込まれているのは否定できな。

「…仕方ないですね。わかりました。ついていくだけならいいですよ。」
大の字になっていたあやめを放っておけなかったのは俺だし、これも何かの縁かもしれない。
と、断りきれなかった自分に対して言い訳しながら、山崎はしぶしぶといった感じで了承した。
「ほんとに!?ありがとう!!」
ぐいっと山崎の手を両手で握り締め、本当に嬉しそうにあやめは礼の言葉を何度も繰り返した。
そんなに礼をいうあやめの笑顔を見て、仕方無しにではあったが山崎は引き受けてよかったと思った。
「私…学生時代もそんな友達とかいなかったの。今も職業上親しい人なんてあまりいないわ。」
淋しそうに笑うあやめに山崎は自分との類似点を見出す。
山崎もそう、思ったことがあったから。
だから、あやめのことを人事だとは思えなくて。
「そうなんですか…俺でよかったら付き合いますから。」
「ありがとう。そういってくれると嬉しいわ。」
その場を、しみじみとした雰囲気が包んだ。
こんなふうに女の人と仕事以外で話したのって初めてかもしれない。
山崎は新撰組で、あやめは銀時に好意を持っているという立場で、いつ敵同士になるかもしれないけれど。
こういう関係も悪くないかも、と心が暖かくなるように感じた。

「ありがとう!銀さんが逃げ出さないようにしばっておいておいてね!」
「えぇ!!?一緒に行くだけじゃないんですか!?」
「何言ってるのよ?だから一緒に来てもらうんじゃない?」
明日が楽しみだわ、となにやら妄想しだしたあやめに山崎はやや引き気味だ。
時計を見ると、すでに7時をさしていた。
もうこんな時間に…と驚く。
「すみません。今日は遅いので、帰りますね。」
「え?もうそんな時間かしら?仕方ないわね。明日は10時にここに来て頂戴。」
夕飯を一緒に食べない、という言葉を飲み込んで、あやめは仕方ないとばかりに立ち上がった。
ここまで付き合ってもらったのも無理やりのような感じだから。
しぶしぶだったとしても、ここまで付き合って聞いてくれた人は初めて。
すみません、と頭を下げる山崎を玄関で見送った。
「また明日ね。忘れたらひどいわよ。」
「わかってますよ。また明日。じゃあおやすみなさい。」
手を振りながら、山崎はドアを開けて外に出る。
ドアが閉められた後、あやめは鍵をカチャリと閉めた。

ふーとため息を吐き、部屋の方へと戻りシーンとした部屋を見渡した。
「なんだか寂しいわね。」
一人なんてなれているはずなのに、自分は一人だということに大きな孤独感を感じた。
あんなふうに人とのんびりとお茶をすることなんて、あまりないことだったからだろうか。
部屋がとても広くなったような気がした。

 

 

 

 

 

「引き止められなくてよかった~!」
エレベーターで下におりながら、山崎は思わず言葉を漏らした。
あやめと一緒にお茶をしたということが嫌ということではない。
楽しかった、そう思ったのはあやめだけでなく山崎も同じだった。
早く帰りたいのは、ただ単純に、副長の雷が怖いだけだ。
非番の日でも、副長はなぜか俺に用を頼む。
それは信頼されているのか、便利に使われているのかはわからないけど。
隊士の中で特別な感じがして、少し嬉しかった。
今日もいつものようにマヨネーズとタバコを頼まれていたのに。
こんなに遅くなってしまった。


チン、と音と同時にエレベーターが止まり、ドアが開く。
急いで山崎はエレベーターを飛び出した。
向かうはスーパーだ。
とりあえず頼まれたものを買って帰らなければ、土方の怒りを増幅させるだけだから。

 

「え~と、これと、あと…それだけかな?」
かごいっぱいにマヨネーズとタバコを入れ、空いているレジに並んだ。
早く、早く、と気持ちばかりが急いてしまう。
レジを済ませて、山崎は屯所の方へと走り出した。
ここから屯序まで普通に歩けば15分、山崎が走れば5分ほどで着く。
どれだけ怒られるか想像もつかないけど。
怒鳴られる、いや殴られる覚悟をして、山崎は屯所への道を急いだ。

 

 

 

 

 

 


遅い!!」


明るいうちに、と使いに出した山崎が帰って来ず、土方はいらいらしながら部屋で待っていた。
マヨネーズとタバコ買うだけで何時間かかっているんだろうか、と隊士が今の土方を見れば、震えだすだろうというくらい額にしわが何十にも刻まれ、目がつりあがっていた。
誰が見ても、怖すぎる、と感じるだろう。
「ったく、せっかくの非番だから、と早めに使いに出したのによ。あいつは何してんだ!」
非番だということを知っているのなら、頼まなければいいのに…と山崎がいればそう突っ込んだだろう。
こんなに機嫌の悪い土方に突っ込みを入れられるのか、と問われれば自殺行為だともいえるだろうが。
「帰ってきたら、半殺しじゃすまさねーぞ。」
山崎のせいで仕事に集中できない、と土方は頭をかきむしる。
心の中では怒りだけではないということがわかっていた。
帰ってこない山崎のことが心配なのだ。
買い物を頼んで30分後、土方は少しだけ後悔していた。山崎が非番だということを思い出してしまったのだ。
山崎はいつもバトミントンをしていたり、と何かと仕事中に余計なことをしているイメージが強い。
しかしそれは山崎の一面であり、普段は仕事に対し一生懸命で想像以上の成果を挙げていた。
サボるイメージもわざと作っているような感じがしないでもない。それを見つけたらぼこぼこに殴ってはいるが。
だから悪いと思いつつも、つい非番でも頼んでしまうのだ。それが簡単な用事であっても。


そして2時間後、土方は片っ端から山崎を見ていないか、と屯序内にいたもの全てに聞いて回っていた。
「何?山崎がいない?仕事にでもでたんじゃないのかぁ?それよりお妙さんが!!」
「山崎をいじめたんですかぃ?仕方ないですねぃ。このへタレが。」
「山崎監察ですか?見てないですねー。」
などなど、むかつくことを言われたりもしたが、山崎の姿を見たものはいなかった。
心配が焦りへと変わる。
何か事件に巻き込まれたのではないか。
誰かに連れ去られたのではないか、と。
山崎は新撰組の中でも副長助勤としてその筋では名が売れていたから。
新撰組には鼻の聞く優秀な戌がいると。
その噂が流れる中で、敵に紛れ込み情報を得て生きて帰ってくる山崎がすごいのだが。
だから、山崎のみに何かが起きたのではないかと。
しかし副長である俺がここを離れるわけにはいかず。


もんもんと考えながら、今に至る。
その間、心配をさせる山崎に対し土方は段々と怒りを感じるようになっていた。
心配をさせる山崎という存在に。
そして山崎がかかわると感情がひどく乱れてしまう自分に対して。
この感情は何なのだろうか。

くそっっ!!」

ライターの火をつけようとして、タバコが切れていたことを思い出す。
ガンっとライターを畳に投げつける。
俺らしくない、物に当たるなんて。
だけど感情が制御できなかった。

 

 

っすみません!!!遅くなりました!」
「………」
戸を開けて、即座に山崎は土下座して許しを請う。
突然姿を現した山崎に驚き、土方は一瞬言葉を失った。
土方を気にすることなく、山崎はひたすら謝り続ける。
「本当に遅くなって申し訳ありませんでした!!!!」
頼まれていた品はこちらに、と買った物を入れたビニール袋を土方の前に差し出した。
「……お前、覚悟は出来ているんだろうな。」
地の底から響くような低い土方の声。
意識が戻ったのだろう。畳に額をこすり付けているだろう山崎の頭をこれでもかというくらい睨みつけた。
山崎は頭上から強い視線を感じつつも、土方が怖くて頭を上げることが出来なかった。
「は。はぃぃ!」
山崎は返事をすることしかできなかった。しなければ土方の機嫌が更に悪くなることはわかりきっていたから。
「で、何か弁解はないのか?」
「え、えーとですね。」
スーパーに行く途中にあやめに話しかけたことを話す。
駄目だ、これでは自業自得だといわれてしまう。
あやめに無理やり連れて行かれたことを話す。
それで新撰組の一員か!と更に怒らせてしまうかも。
あやめが人のいうことを聞かない…

駄目だ、うまい言い訳が思いつかない。
というか、何を言っても殴られそうだ。あれ痛いんだよね。やだなぁ。

ダラダラダラと汗を流しながら、アーとかウーとか奇声を発している山崎に土方は更に怒りを感じてしまう。
何を隠しているのだ。
頭の中がそれだけを支配し、怒りが収まらない。
土下座をしていた山崎をひっくり返し、腹に勢いをつけてのっかかる。

グェ!!」
蛙の潰れたような声がしたような気もするが、いつものことなので土方は気にすることなく。
「何を隠してるんだ?」
「な、何も…」
全部話したらもっと怒られるんだろうな、その考えが山崎に真実を告げることを渋らせていた。
「ふぅん。」
嘘吐け、と土方は心の中でつぶやいた。
そして妙に甘ったるいにおいに気がつく。
なんだこの匂いは?
しばらく山崎の上で考えていたが、ある考えへと至る。
女の香水の匂いではないのかと。
山崎が女と?それを想像した瞬間、体が燃えるように熱くなった。
この匂いは間違いなく香水だろう。
その事実を否定したがる自分がいることに土方は驚いた。
まるで嫉妬のようだと。
冗談ではない、なぜ山崎にそんな感情を持たなければならないのだ。
「ふ、副長?」
すっと土方は山崎の上から立ち上がり、定位置へと戻った。
殴りもしない土方に山崎は驚き、そして恐怖を感じる。
何かもっと恐ろしいことを考えているのではないか、と。
「あ、あの…」
「もういいから下がれ。」
取り付く島もないくらい冷たく言われ、山崎は言葉を失う。
土方は山崎を無視するかのように、書類の整理を始めだした。
まるで邪魔だとでも言うかのように。
「あ…じゃあ失礼しますね。」
おやすみなさい、と再び頭を下げ、山崎はその場を後にした。

 


「どうしよう。」
いつものように殴ってくれた方がよかった。
あんなふうに怒る土方を見たことがなかったから、どうすればよいのかわからない。
山崎を拒否するかのような、そんな雰囲気。
「あの時、声をかけていなければ。」
後悔しても仕方がないのに。
顔も見たくないとでもいうかのような土方の態度に、どうしようもなく胸が痛む。
「明日は…見つからないように行かなきゃ」
本当は碇に油を注ぐようなこと、したくはない。
でも仕事でもないのに、約束を破りたくなくて。
何度もため息を繰り返しながらも、明日のことを考える。
ばれたら、もっと嫌われるんだろうな。
いっその事怒ってくれれば、その方がすっきりするのに。
屯所の廊下から空を見上げると、星がきれいで。
今日のように明日も晴れそうだ、と。
あやめとの約束に一抹の不安を感じながらも。
誰もが悲しまず、皆が幸せであることを山崎は願う。
そして副長の機嫌が直りますように、と。
流れ、一瞬で消えたあの星に。

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